電子書籍あり 日本語を鍛えるための論理思考トレーニング 「ことばを使ってものを考える」という知的作業の基本を学ぶ 日本語 ★★★★★★★ 入門 初級 中級 上級 書籍を購入する ※品切れ(再入荷通知サービスが利用できます) 他のネット書店で購入する 著者名 横尾清志 ISBN 978-4-86064-170-2 ページ数 256ページ 判型 A5判 並製 価格 定価1,980円(本体1,800円+税10%) 発売日 2007年10月22日発売 目次 目次を見る この書籍に関するお問い合わせはこちら 内容紹介 これまでの教育で論理性という視点から国語を訓練するような場がほとんどありませんでした。この本の学習を通して「論証」といった概念を具体的にイメージすることができるようになります。また小論文やレポートの作成、討論や会議、プレゼンテーション等、日常の実践的な日本語力を鍛えることができます。[ことばを使ってものを考える」という知的作業の基本の力を身につけることが本書の最終目標です。… もっと見る 著者コメント (「はしがき」より) モノを考える 「モノを考える」このことはいうまでもなく人間にとって時代を超えた普遍的なテーマです。「モノを考える」行為は二つに大別できます。ひとつは「何を考えるか」もうひとつは「どのように考えるか」です。すなわち、思惟行為の「対象」と「方法」ということがいえるのではないでしょうか。「対象」についてはこれからの執筆にあずけることとして、今回はその「方法」についてお話をしていくことになります。 さて、「モノを考えるための方法」といったことを主題にひとつの答えを出すならば、それは「言葉を適切かつ柔軟に使った知的操作である」といえます。言葉を使うこと、それを自在に操ることによって思惟活動を行うこと ― この行為は人間が持つ優れた能力の象徴です。源頼朝、豊臣秀吉、黒田官兵衛といった歴史上稀にみる優秀な頭脳の持ち主もおそらくは「モノを考える」といったことの優越、「モノを考えない」といったことの愚かさについて若くして達観していたことでしょう。おそらくは彼らも「何ごとか」を考える際に「どのように」考えるべきかといった思考の手段としてのやり方についても随分と思案したはずです。 なかでも、織田信長は、ルイス・フロイスとの議論の中で、内容よりも論証構造について指摘したという伝説さえ残されているほど思考のプロセスを重んじた人物です。言葉を使った思考、すなわち「手段」におけるこれらの関心は、秀吉や信長にとっては調略において重要な学習テーマであったわけです。このように考えますと、やはり時代を越えて共有される課題であることは間違いないようです。 言葉を使った思考法 「言葉を使った思考法」そのような法則はこの世に存在しません。仮に存在するとしてもそれは個々人の頭脳にひとつしか存在し得ないのです。この方法は時に修正され、時に法則化され、また修正を受けるわけでありますが、これら活動の一切は頭脳が「コトバを使って」行っているのです。 本書では、この知的操作法ともいえる「言葉を使った思考法」をテーマに扱います。 これまでに大学生、大学院生、高校の先生、大学の教員、会社役員といった様々な学習者を対象に小論文や討論における論理的な論述の在り方、弁論術等を中心とした講義を行って参りました。現在も日常的に多くの受講生諸氏と勉強させてもらっているわけですが、そのような環境の中から、痛感していることは、「中等・高等教育において構造的な文章作成法や論述における技術を体系的に学習する機会が与えられてこなかった」ということです。これまでの国内における国語教育のなかでは文学的なものがその主流となっており、「議論」や「論証」といった実践において求められる論理性といった観点から国語を訓練するような場が設けられてこなかった気がします。そのためか、国会答弁ですら議論的風土が根付いておらずそのほとんどが学級会的議論の様相を呈しております。 本書では、「日常的で恒常的に使える構造的文章作成法と議論の構築法」といった思考のための「手段」を取り扱うと同時に、もう一つ「思考力」そのものを養っていただける教科書となることを念頭に書き進めていきます。それゆえ徹頭徹尾、「議論」「論証」「討論」「論法」「小論文」「構造」「発想」といったところに焦点を当てて進めて行くことにしますが、ここでは本書が対象とする初学者の皆さまを意識し、専門用語の使用は極力避け、また難解な修辞法や論法などもできる限り扱わないようにしました。専門書としてではなく、あくまでも日常の実践に資する実用的な学習書とすることをその本旨としました。 本書での学習を通して、「論証」という概念を具体的にイメージすることができ、小論文やレポートの作成、討論や会議、プレゼンテーション等、日常の実践に役立つ論証技術を身につけてください。言葉を構造的な側面から取り扱うことができるようになれば、自ずと「言葉が思考を牽引し、言葉が思考を拡大」するようになります。 本書刊行を機に国内における国語教育(初等・中等・高等教育のみならず生涯教育を含めた日本人のための国語教育全体)が外国語教育を前にして後ずさりすることなく、多元的な価値観に基づいた新たな「日本語運用能力」を模索する端緒として広く世に受け入れられることを願っております。… もっと見る 横尾清志(よこお きよし) 社会人・大学生・大学院生を対象とした清光編入学院にて、長年論文指導に携わる。大学でも指導を受けることのできない論述指導は独自的であり新規性の高いもの。学生、主婦、会社員はもとより大学教員や会社役員、新聞社の論説委員でさえ受講予約するほどの人気。知識の量だけで記述させようとするこれまでの論文指導とは異なり、「論述の技法」「議論の構造」を基礎に、「思考の枠組みを構成する方法」等、その手法は「言葉を使った知の操作法」ともいえるほど。現在も東北大学大学院(教育情報学)において論文指導の方法論等について研究する一方、言語文化学会東北支部長や東北大学全学同窓会関西支部長も兼任。※この情報は 2007.10.22 時点のものです。