地球温暖化で雪は減るのか増えるのか問題
そろそろ、これからの雪の話をしよう!
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- 著者名
- 川瀬宏明
- ISBN
- 978-4-86064-603-5
- ページ数
- 256ページ
- 判型
- 四六判 並製
- 価格
- 定価1,870円(本体1,700円+税10%)
- 発売日
- 2019年12月25日発売
- 立ち読み
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PDFファイル(7MB)
- 目次
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PDFファイル(231KB)
内容紹介
日本には、日本海側を中心に、豪雪地帯と呼ばれる地域がたくさんあります。スキーやスノーボードで雪を楽しむ人もいれば、雪かきや雪下ろしに苦労する人、雪や雪解け水を農業などに利用する人もいます。
そんな身近な雪の「これから」に大きく関わる存在なのが、地球温暖化です。気温が上がると、降雪は減ってしまうのでしょうか? どうやら、そんな単純なことではないようなのです。日本でただ一人、雪と地球温暖化を専門に研究する著者が、雪と地球温暖化の関係に迫る!…
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著者コメント
(「はじめに」より)
冬になると、空から落ちてくる白い雪。雪への思いは人それぞれです。スキーやスノーボードを楽しむ人、雪を見てはしゃぐ子供。雪の少ない地域で育った筆者も、子供の頃は雪が降ると外に出てはしゃいでいました(今もですが……)。その一方、雪かきで大変な思いをする雪国の人々もいます。また、毎年、雪の予報で頭を悩ませる気象キャスターもいます。
「雪は天からの手紙」。これは、雪の研究で著名な中谷宇吉郎博士が残した有名な言葉です。地上に落ちてくる雪の結晶は実にさまざまな形をしています(口絵1)。雪の結晶は一片だけだと一センチにも満たない小さなものです。ただ、この結晶が多量に降ると一転、生活に大きな影響を及ぼす厄介な存在になります。多量に降る雪は悪いことばかりではありません。山に積もった雪は「天然のダム」と言われ、春先から初夏に下流の水田を潤します。また、冒頭のウィンタースポーツにも雪は欠かせない存在です。
そんな雪の存在を脅かしているのが地球温暖化です。気温が0度を超えると存在できなくなる雪は、地球温暖化の影響を最も敏感に受けると言われています。産業革命以降、人類が温室効果ガスを排出してきたために、地球の気温は確実に上がってきています。このまま何も対策をしないと、世紀末には最大で4・8度気温が上昇する予測も出ています。地球温暖化に伴う気候変動は、数十年という時間をかけてゆっくりと進行しているため、日々の天気予報とは少し毛色が違って見えます。そのため、天気予報の専門知識を持った気象予報士でも、疑問に思うことは多々あると聞きます。本書では地球温暖化の研究に長く携わり、気象予報士でもある筆者の視点で、地球温暖化の問題をわかりやすく伝えることを心がけました。地球温暖化の部分も気楽な気持ちで読んでみてください。
ところで、地球温暖化が進むと雪は単に減っていくだけなのでしょうか?もしかして、気温が上がると増えたりしないのでしょうか?地球温暖化と雪の関係はかなり複雑であることが筆者の研究からわかってきていました。本書では、雪と地球温暖化を専門に研究する筆者が、日本の雪の特徴と地球温暖化の基本を踏まえたうえで、0度を境にした雪と地球温暖化の戦いに迫っていきます。
本書には、各章の最後に各地域で活躍する気象キャスターが書いたコラムがあります。気象キャスターの目線で、それぞれの地域特有の雪の降り方、雪の予報をするときの難しさなどが書かれていますので、本編とともにコラムもぜひお楽しみください。…
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川瀬宏明(かわせ ひろあき)
1980年生まれ。
気象庁気象研究所 応用気象研究部 主任研究官。博士(理学)。気象予報士。
専門は気象学・気候学、雪氷学。
2019年度日本雪氷学会平田賞を受賞。
著書に『異常気象と気候変動についてわかっていることいないこと』(共著、ベレ出版)がある。
※この情報は 2019.12.25 時点のものです。