電子書籍あり 「毒と薬」のことが一冊でまるごとわかる 「毒と薬は使いよう」一見相反するこのふたつを科学的に解説! 化学 ★★★★★★★ 入門 初級 中級 上級 書籍を購入する 他のネット書店で購入する 著者名 齋藤勝裕 ISBN 978-4-86064-709-4 ページ数 256ページ 判型 A5判 並製 価格 定価1,870円(本体1,700円+税10%) 発売日 2022年11月18日発売 立ち読み PDFファイル(1MB) 目次 PDFファイル(731KB) この書籍に関するお問い合わせはこちら 正誤表 内容紹介 毒が人の健康、命を奪うものである一方、薬は人を怪我や病気の苦しみから救ってくれるものです。しかし昔から「薬と毒は匙加減」というように、毒と薬の違いは簡単に言えば使用料の違いにあります。多くの医薬品は、少量を使うから薬になるのであり、大量に使えば副作用で人の命を奪うことになります。毒と薬は化学的な目で見れば、多くの場合、同じ化学物質と言えるのです。本書では、植物、動物、鉱物等多くの天然物に含まれる毒成分を明らかにし、毒物がどのような作用によって人の健康を害し、命を縮めるか、また、それが薬として利用されることはあるのか、あるとしたらどのような効用があるのかも解説していきます。… もっと見る 著者コメント (「はじめに」より) 毒と薬は使いよう! 「毒と薬? それって、正反対の物だろ」――たしかに、毒は少量で人の命を奪う物であり、薬は少量で人の命を救う物です。毒のように人の命を奪う物など、世の中にあってもらっては困ります……。 本当に、そうでしょうか。毒は私たちに不要な物なのでしょうか。たとえば殺虫剤の多くは人間にとっても毒ですが、殺虫剤が無くなったらどうなるでしょう。穀物は害虫に食べ荒らされ、害虫が媒介する伝染病が蔓延し、この地球上に77億もの人が暮らすことは困難になるでしょう。 青酸ソーダは青酸カリと同じ毒物であり、人間が作っているものです。日本だけで年間3万トンも生産していますが、毒物が欲しいわけではありません。青酸ソーダの水溶液には金を溶かす性質があり、金メッキや金鉱山での金採掘に欠かせない物質なのです。 毒物の中には、使い方しだいで薬になるものもたくさんあります。猛毒トリカブトの毒成分は、漢方薬では強心剤として重要です。フグ毒も痛み止めや心臓疾患に使われる可能性があり、研究が進められています。人を廃人にし、社会的に抹殺してしまう猛毒のアヘンも、がん患者の痛み止めとして活躍しています。 毒の多くは少量を注意深く使えばかけがえのない薬ともなり、逆に薬を大量に使えば毒となります。「毒と薬は匙加減」なのです。 自然界には毒と薬が溢れています。キノコは日本だけで5000種あるといわれ、その3分の1は毒キノコです。植物も多くの種類が毒をもち、人間はかつてそれを毒として狩猟に使い、現在では薬として医療に使い、嗜好品として憩いに使っています。 海洋では藻類や小動物が各種の猛毒を生産していますが、その毒は生産者の体内に留まるだけでなく、広く多くの魚が摂取し、その毒を体内に留めて自身の保身の盾、あるいは獲物を捕らえるための武器として利用しています。 毒物、薬物は自然界に存在する植物系、動物系、鉱物系のものに限りません。私たち人間自身が知識と技術を駆使して作り出した合成系もたくさんあります。 アメリカ人が信仰にも似た信頼をよせるアスピリン、肺炎に苦しむイギリスのチャーチル元首相の命を救ったサルファ剤、予防医療としてどれだけの人の命を救ったかを数えることも困難なワクチン、そして抗生物質、新型コロナウイルスで登場したmRNAワクチン。 本書はこのような毒と薬に関する世界を広くご紹介しようという意図で執筆してみました。本書を読んで面白いとお思いになった方々の中で、さらに進んで化学、薬学、化学史などの専門書を広げてみられる方が出てこられたら、著者として大変に嬉しいことです。 最後に本書作製に並々ならぬ努力を払って下さったベレ出版編集部の坂東一郎氏、編集工房シラクサの畑中隆氏、並びに参考にさせていただいた書籍の著者、出版社の方々に深く感謝申し上げます。… もっと見る 齋藤勝裕(さいとう かつひろ) 1945年5月3日生まれ。1974年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。現在は名古屋工業大学名誉教授。理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。 主な著書として、「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全16冊(東京化学同人)、「わかる×わかった! 化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『マンガでわかる有機化学』『料理の科学』(以上、SB クリエイティブ)、『「量子化学」のことが一冊でまるごとわかる』『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』『「毒と薬」のことが一冊でまるごとわかる』『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』『「原子力」のことが一冊でまるごとわかる』(以上、ベレ出版)など多数。 ※この情報は 2024.11.19 時点のものです。