電子書籍あり 身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる 日常に潜む「危険」を化学的に解説! 化学 ★★★★★★★ 入門 初級 中級 上級 書籍を購入する 他のネット書店で購入する 著者名 齋藤勝裕 ISBN 978-4-86064-728-5 ページ数 288ページ 判型 A5判 並製 価格 定価1,980円(本体1,800円+税10%) 発売日 2023年06月17日発売 立ち読み PDFファイル(998KB) 目次 PDFファイル(570KB) この書籍に関するお問い合わせはこちら 正誤表 内容紹介 私たちは毎日、家や職場や学校などでなにげなく過ごしていますが、じつは身のまわりには危険なものがたくさん潜んでいるといえます。といってもここでは包丁や自動車やその他の重量物など、物理的、機械的に危険な物を話題にするわけではありません。毒物・燃焼物・爆発物のような、化学的危険物質について見ていきます。キッチン・食卓に始まりバス・トイレ、リビングにベランダ、家の外では職場や学校、公園やキャンプ場から近所の工場跡地まで、日常的に「危険物」と思っていないものにも潜む危険について、なぜ、どのように危険なのかを化学的に解説していきます。思わぬ事態に遭遇しないためにも知っておきたい知識も満載ですが、身近にある化学の話題の面白さも実感できる一冊です。… もっと見る 著者コメント (「はじめに」より) 本書は『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』というタイトルの通り、私たちの身のまわりにある危険物とその危険性、並びになぜ危険とされるのかを、ぜひ知っていただきたいと思い、執筆したものです。 身のまわりの危険というと、自動車事故に巻き込まれる危険性や、包丁で指を切る危険性などもありますが、それはあえて述べるまでもないでしょう。本書で述べる「危険」とはそういうものではなく、知識があれば避けられたのに、その知識がなかったばかりに思わぬところで巻き込まれてしまうような危険のことをいいます。そのような危険を知るには、多少の化学の知識が必要になってきます。 たとえば、キッチンに置いてある「お酢」は料理にとても役立つものです。また、「漂白剤」も日々の洗濯やキッチン用品の漂白に役立ちます。たしかにそれぞれ別々に使っているときはいいけれども、万一「お酢」と「漂白剤」を混ぜてしまったら、そのとたん、「殺人ガス」が発生することをご存じでしょうか。いわゆる「混ぜるな危険!」というものですが、では、なぜ殺人ガスに豹変するのでしょうか。 また、最近の窓のほとんどはアルミサッシでできています。アルミはサッシに限らず、どこにでも使われている素材です。そこで、アルミ製のボトルに液体洗剤を入れて持ち運んだらどうなるか、ご存知でしょうか。爆発する危険性があります。実際に地下鉄の車内で爆発事故が起き、数十人の人がケガを負っています。 このように、私たちの身のまわりには、「私たちが気に留めないけれど、とても危険な物」が無数に存在しています。単体であれば危なくはないけれど、別の用途で使うものと合わせたとたん、設計者も考えつかない危険物に変わったりするのです。 本書はこのような意味での「危険物」を読者の皆様にお知らせし、その危険性を理解し、身を避けていただきたいと思って書いています。 ところで先日(2023年4月)、NHKの『クローズアップ現代』が「PFAS」(ピーファス)の危険性について解説していました。PFASという言葉を初めてお聞きになった人も多いでしょうが、かつて大きな問題になった「オゾン層破壊物質」のフロンと非常によく似た有機フッ素化合物のことなのです。 フロンはオゾン層を破壊しましたが、人間の体に及ぼす直接の被害としてはそれほど問題にはされませんでした(紫外線の問題はありましたが)。しかし、PFASは、直接的に人間に及ぼす健康被害が大きくクローズアップされています。 私自身、このPFASのもつ危険性については、15年近くも前に書いた『知っておきたい有害物質の疑問100』(SBクリエイティブ、2010)で指摘し、警鐘を鳴らしたつもりでした。 しかし残念なことに、日本の関係機関はいつも通り腰が重く、やっと最近になって「PFASは危険だ」と大騒ぎを始めています。このような関係機関の感度の問題、そして対応の遅れがいかに重大な結果を生み出すか。それはかつてのエイズ(HIV)問題、サリドマイド事件などを思い起こせば明らかなことではないでしょうか。 本書はこのような、気づかないうちにヒッソリと忍び寄る危険物、あるいは以前から問題にされながら、あまりに身の近くにあるので意識に上らなかった危険物、さらには明日にでも遭遇してから「シマッタ!!」と思うようなさまざまな危険物について、ページの許す限りご紹介しました。 家庭、学校、職場での日常生活はもちろん、公園、キャンプなど、楽しいアウトドアにお出かけの前にも、本書にざっとでも目を通していただけると役立つものと思います。 キャンプに行って、昔の知識で、「ヤマカガシ(ヘビ)は毒ヘビではない」と思っていると大変です。実は、ヤマカガシの毒性はハブよりも強いのです。また、温暖化の影響で、これまで日本近海に棲息していなかったヒョウモンダコと呼ばれる強毒のタコも出現しています。ぜひ、本書で新しい知識を身につけていただければ幸いです。 最後になりましたが、本書作成に並々ならぬ努力を払ってくださったベレ出版編集部の坂東一郎氏、編集工房シラクサの畑中隆氏、並びに参考にさせていただいた書籍の著者、出版社の方々に深く感謝を申し上げます。… もっと見る 齋藤勝裕(さいとう かつひろ) 1945年5月3日生まれ。1974年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。現在は名古屋工業大学名誉教授。理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。 主な著書として、「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全16冊(東京化学同人)、「わかる×わかった! 化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『マンガでわかる有機化学』『料理の科学』(以上、SB クリエイティブ)、『「量子化学」のことが一冊でまるごとわかる』『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』『「毒と薬」のことが一冊でまるごとわかる』『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』『「原子力」のことが一冊でまるごとわかる』(以上、ベレ出版)など多数。 ※この情報は 2024.11.19 時点のものです。