電子書籍あり 現場で熱を感じ探る 火山の仕組み 著者自ら現地を歩き、見て触って研究したからこそわかる「火山の実態」! 地学・天文学 ★★★★★★★ 入門 初級 中級 上級 書籍を購入する 他のネット書店で購入する 著者名 宇井忠英 ISBN 978-4-86064-736-0 ページ数 304ページ 判型 A5判 並製 価格 定価2,420円(本体2,200円+税10%) 発売日 2023年09月26日発売 立ち読み PDFファイル(3MB) 目次 PDFファイル(1MB) この書籍に関するお問い合わせはこちら 正誤表 内容紹介 日本に住んでいると、誰もが火山と無関係ではいられません。日本には山の見えない場所がどこにもないのと同じように、火山と無縁でいられる土地はどこにもないと言えるのです。そんな火山は仰げば美しく、近寄れば私たちに温泉を提供してくれます。一方で、ひとたび噴火をすると、噴煙を巻き上げ灰を降らし、地震も引き起こします。本書は日本の、そして世界の火山現場に赴き、調査を続けてきた著者が、1章から7章までは火山の噴火に関わる現象ごとに分けて多くの画像を使いながら解説し、8章では火山による災害の状況と防災対策の現状を解説したものです。机上の教科書的な入門書ではなく、現場の熱を感じながら、火山の基礎知識と全体像が学べる一冊となっています。… もっと見る 著者コメント (「はじめに」より) 地質学科の修士課程に在籍していた私は、鹿児島県指宿地方の火山噴出物を調査し、特に火砕流堆積物を調べるという研究課題を与えられていました。1964年の大みそか、池田湖の北方で地層が露出している崖を探して歩き回っていると、幸屋(こうや)集落のはずれで農業用水路を新たに作る工事現場を見つけました。池田湖起源の噴出物の下には厚さ20cmの風化土壌層、その下に厚さ70cmの火山灰層、更にその下には風化土壌層が見えていました。この火山灰層は当時アカホヤ火山灰層と呼ばれ、発生源不明の火山噴火により降ってきたものであると記載されていました。 ところが崖を詳しく観察してみると、細かな火山灰層の中に平均直径3cmに達する非常によく発泡した軽石がいくつも入っていたのです。炭化した木片も見つかりました。非常に薄いけれどもこの火山灰層は降ってきたのではなく、火砕流により生じたと判断しました。日本列島では1万年に1回程度最大級の火砕流噴火が発生します。その最新事例として知られる幸屋火砕流堆積物の発見でした。私がその後、露頭(地層の断面が地表に現れているところ)や地形の観察により火山噴火の仕組みを探るというスタイルの研究者を目指すきっかけとなった思い出です。 多くの方々が抱く火山感は「火山に出かければ美しい自然景観を満喫できる。でも噴火は怖い」というものではないでしょうか?火山の地形や火山の周りに残っている火山噴出物には、火山が今の姿になるまでにどういった噴火をしてきたのか、将来何が起こりそうかという情報が隠されています。そのことを多くの方々に知っていただきたいと考えて、本書の執筆を思い立ちました。 本書では私が国内のみならず海外にも出かけて噴火現象を野外の現場でどう読み解いてきたかを紹介しています。現地で撮影した画像を使い、地図やグーグルアースの画像も添えました。理解の助けになる論文の図版も入っていますが、専門の学術書ではないので最小限に留めました。 第1章から第7章までは火山の噴火に関わる現象ごとに分けて画像を沢山使いながら解説しています。第8章は火山と付き合うためには避けられない災害の状況と防災対策の現状を解説しました。最後の第9章はそれ以前の章ではあえて避けている火山の基礎知識の解説です。 本書を読んで火山現象に興味が湧いたら、できれば火山地域に出かけてみてください。特別な装備は用意しなくてもよいのです。山頂まで登る体力も必須ではありません。火山の周りを歩き回って火山の地形や地層を観察し何が起こっていたのかを探ってみましょう。但し、活火山に出かける場合には気象庁のウェブサイトで火山活動の現況を必ず確認してからにしましょう。 一般の市民の方々を対象とした本書ですが、将来地学系や土木系そして防災の分野の職業を選択しようと考えている若い世代の方々にもお役に立てるのではないかと思っています。… もっと見る 宇井忠英(うい ただひで) 1940年東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。北海道大学名誉教授・NPO法人 環境防災総合政策研究機構理事。専門は火山地質学・火山防災。火砕流と岩屑なだれの発生や堆積機構を研究し、大学を退職後は火山噴火などの自然災害の軽減に関わる啓発活動に従事している。『火山噴火と災害』(東京大学出版会)、『旅客機から見る世界の名山』(イカロス出版)、『地震と火山のメカニズム』(古今書院)などの共著書がある。※この情報は 2023.08.15 時点のものです。