理屈でわかる英文法講義&まとめnote
英文法の基礎がためならこの一冊!
- 他のネット書店で購入する
-
- 著者名
- 坂本訓隆
- ISBN
- 978-4-86064-738-4
- ページ数
- 328ページ
- 判型
- A5判 並製
- 価格
- 定価2,090円(本体1,900円+税10%)
- 発売日
- 2023年09月26日発売
- 立ち読み
-
PDFファイル(1MB)
- 目次
-
PDFファイル(85KB)
内容紹介
中学、高校で習う英文法、それらを大人が学び直すために英文法の持つ意味を理屈から詳しく解説した「やり直し」の英文法書です。右ページにnoteとして大切なことをまとめ、左ページではそのnoteについて講義調でやさしく解説していきます。英語の授業で先生が板書しながら解説をしているのを聞いている気分で気楽に学ぶことができます。学習参考書の解説よりもより掘り下げてあり、ストンと腑に落ちてもらえるはずです。品詞、5文型から、時制、受動態、助動詞、不定詞、動名詞、分詞、分詞構文、関係代名詞、関係副詞、接続詞、比較、仮定法、特殊構文までをしっかりと学ぶことができます。…
もっと見る
著者コメント
(「はじめに」より)
この本は、ひととおり中学・高校で英語を習ってきた人に向けて、また中学での英語の基本はまあまあ理解している人に対して、中学・高校 6 年間で習う英語の重要な文法ポイントを復習・理解してもらうために書いたものです。
本の構成としては、右のページに「まとめnote」として、その単元の要点をまとめています。これは授業でホワイトボードに板書するような部分ですので、ここをさっと見るだけでも忘れていたような重要ポイントを確認することができるでしょう。
左のページには、できるだけ、普段、授業で私が生徒に言っているような口調でその単元や関連する内容を説明しています。
私が学生だった頃のウン十年昔の英文法と比べると、当時は「ただ覚えなさい」とされていた文法事項なども大分進歩して、今では少しずつその理屈が解明されてきたように思われます。
しかし、それでもまだ英文法は発展途上ではないかと私は考えています。それは、物理学や生物学、医学なども新たな発見があって発展していくことを考えれば、当然の成り行きなのかもしれません。
この本の中では、従来の英文法をまとめていますが、動詞の変化形とそれに関連する仮定法などのあたりは、授業中にときどき生徒に話している私の考えなども含めてみました。
実はこの部分は、30 年以上前、英語教師として駆け出しの頃に、偶然、訪れた書店で手にした『動詞革命』(マイケル・ルイス著、黒川泰男監訳、梅本裕訳、三友社出版、原著『THE ENGLISH VERB』)や、『時制・態・法の重点 31』(若林俊輔著、日本英語教育協会)に啓発されて以来、ずっと考え続けてきたところです。そして、この 2 冊の本は、英文法は一つではないし完成されてない、ということを私に教えてくれたとても貴重な本です。(現在入手不可)
大学受験生や医学部をめざす浪人生たちに英語を教えていると、物理や数学などは答えが一つに決まっていて論理的で納得できるのに、英語は和訳にしても答えが一つに決まらないし、文法も例外があったりして、理路整然としていないように感じて、どうもよくわからないところが多いから、あんまり好きではない、という痛烈なことばを英語ぎらいの生徒からたまにもらったりします。
たしかに、私も高校に入ったばかりの頃、would は will の過去形なのにwould like to ~ になると「~したいものだ」となる、と英語の先生が教えることに対して、どうしてそうなるのか、とても不思議に思ったものです。そして、その明確な理由の説明もないことに、なんでだろう、ただ覚えるだけなのかと困惑したものです。
こうしたふつうに考えて理屈に合わないところを、学習する人たちに少しでもわかりやすく説明する、どうしてもつじつまが合わない場合は、従来の文法体系自体さえも組み換えることを厭わないのが、まがりなりにも英語を教えようとする者の責務の一つではないかと私は思います。
少し話は変わりますが、私たちは日本語に関してはこれを日頃使いこなしているネイティブ・スピーカーですが、次の文の違いが言えるでしょうか。
①「私が犯人なんです。」 ②「私は犯人なんです。」
「が」と「は」だけの違いですが、この微妙な違いをことばで説明するのは難しいかもしれません。しかし、どんな状況でそれぞれを使うのか、についてはなんとなく私たちはわかっているはずです。
たとえば、テレビの 2 時間サスペンスドラマではないですが、犯人ではない、あなたの大事な人を警察が疑っている。そのとき、その人をかばって、あなたは自分が犯人であることを警察に初めて告白しようとするとき、「彼は犯人ではありません。」その次に①と②のどちらを言いますか。①の「私が犯人なんです。」と言うのがふつうです。
また別の状況で、何年も昔の時効になった犯罪の、あなたは犯人だとします。今は真面目に暮らしているあなたに、それを知っていながら、それでも親切にしてくれる人に対して、感謝しながらも遠慮して「そんなに親切にしないでください。」と言ったあと、①と②のどちらを言いますか。②の「私は犯人なんです。」と言うほうがふつうなはずです。
このように、日本語ネイティブの私たちは、日本語に対して「語感」がありますので、こういう状況ならこちらを使う、またはこの場合ならどちらでも使える、とだいたい判断できるはずです。しかし、その他のさまざまな状況での使われ方の違いを全てことばで定義するのはとても難しい。
さて、本題はここからで、この「が」と「は」は日本語の文法の品詞では「助詞」になります。そして、この助詞は、さらにその働きから、次のように 4 つに分類されています。
日本語の助詞の分類
⑴ 格助詞
主に体言(名詞などのことです)に付いて語と語の関係を表す。「を」や「に」など。
⑵ 接続助詞
主に活用のある語(動詞や形容詞など)に付いて、前後の文節をつなぐ。「~けれど」「~ながら」など。
⑶ 副助詞
いろんな語について、さまざまな意味を添える。「~でも」「~ばかり」「~だけ」など。
⑷ 終助詞
主に文末に付いて、さまざまな意味を表す。「や」「よ」「わ」「ね」など。
では、この「が」と「は」は日本語の文法では、上のどの助詞に分類されているでしょうか。
ほとんどの人は、「が」も「は」も、主語に付いているので「格助詞」だと考えるはずです。私も最初、そう思っていました。
しかし、実は正解は、「が」は格助詞ですが、「は」は副助詞に今の日本語の文法では分類されているのです。
このことに、日本語ネイティブの私たちは十分に納得できるでしょうか。「が」も単に主語についているだけではなくて、ある特定の意味をふくんでいる場合があるのではないかと思わないですか?「は」も単に主語に付いている場合もあるのじゃないかと思いませんか?
実は、これは古文、日本語の昔のことばですが、この古文の文法の「係助詞」(今の日本語にはこんな助詞はありません)との関係で、こんな分類になっているようなのです。その詳細の解説は国語の専門家に任せておきたいと思いますが、このように、今ある文法が、誰もが納得できるぐらい全てにおいて満足いくものだとはどうも言えないのではないかな、とこのようなことからも私は思っているのです。
これは日本語の文法の話でしたが、英語においても、多くの中学生・高校生や大人で学習し直している人が英文法に困惑している状況なら、同じように、これからも発展していく部分がまだまだ残されているはずだと考えています。
「はじめに」が大分長くなってしまいましたが、この本では、基本的には従来の英文法をまとめています。しかし、「基本時制」や「仮定法」の単元などでは、既存の英文法が染みついてしまった読者にはやや戸惑う説明があるかもしれません。ですが、よく読んでもらえれば納得できるはずです。今までの固定観念に囚われず読んでいけば、動詞に関連するところはとてもすっきり理解できると思います。
英語ぎらいを作り出すような英文法の難解な部分が、読者の方に少しでも腑に落ちてもらえれば著者としては望外の喜びです。
この本が本気で英語をやりなおしたいと思っておられる方のお役に立てることを、心から願っています。…
もっと見る
坂本訓隆(さかもと くにたか)
大阪府立大学(現大阪公立大学)経済学部卒業後、大阪府庁に入庁。
港湾局や企画室で地域行政に数年間携わった後、学習塾講師、予備校講師に転身。
その後、個別指導の学習塾を主宰。30年以上の間、多数の様々なレベルの中・高・浪人生の英語を指導する中で、現場の生徒の反応を通して効率的な指導法・学習法を追究している。
現在、塾・予備校などでプロ講師として医学部や国公立大・有名私立大志望の受験生から基本がわからなくなって困っている中学生まで、あらゆるレベルの生徒に英語を指導、成績向上に貢献中。
〔著書〕『徹底練習 しっかり学ぶ中学英語』『必ず身につけておきたい中学英語の基本語句・構文・熟語』『時間がない人のための中学英語やりなおし』『ならべかえ中学英語』(以上ベレ出版)
※この情報は 2023.08.15 時点のものです。