電子書籍あり 「原子力」のことが一冊でまるごとわかる 「何が凄くて何が怖いのか」漠然としたイメージやおぼろげな知識をきちんと整理する 物理 化学 ★★★★★★★ 入門 初級 中級 上級 書籍を購入する 他のネット書店で購入する 著者名 齋藤勝裕 ISBN 978-4-86064-749-0 ページ数 272ページ 判型 A5判 並製 価格 定価1,980円(本体1,800円+税10%) 発売日 2023年12月18日発売 立ち読み PDFファイル(3MB) 目次 PDFファイル(555KB) この書籍に関するお問い合わせはこちら 正誤表 内容紹介 多くの人が「原子力」や「核」や「放射線」という言葉に対して「凄い」「怖い」「危ない」などのイメージを持っていると思いますが、実際のところ、なぜ凄いのか、なぜ怖いのかを正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。本書では、「原子力とはどのようなものか」「原子力はなぜ危ないのか」「原子力はなぜ役に立つのか」ということを理論面と技術面からニュートラルな目線で解説していきます。原子炉の原理・構造・環境にも詳しく触れ、これまでに世界で起こってきた原子炉の事故も振り返ります。多くの人が混同している核分裂と核融合の違いもしっかりと解説しながら原子力発電の将来についても考察していきます。… もっと見る 著者コメント (「はじめに」より) 科学の目で「原子力」を見る ●原子核反応エネルギーとは? 宇宙を構成するすべての物質は原子からできています。原子は丸い雲のような電子雲と、その中心にある小さくて重い(密度の大きな)粒子である原子核からできています。 原子は「化学反応」を起こしますが、この反応は電子が起こすもので、原子核は長い間、不変の物質で変化(反応)は起こさないものと考えられてきました。 しかし20世紀になって、キュリー夫人らの努力によって原子核も反応を起こして、別の原子核に変化することが発見されました。この原子核が起こす反応を「原子核反応」と言います。 原子核反応は原子核反応エネルギーを発生しますが、その大きさは、電子の反応である化学反応とは比較にならないほど膨大であることがわかりました。 アインシュタインは、相対性理論を使ってそのエネルギーの大きさを推定しました。それがE=mc2、いわゆるアインシュタインの式です。 それによって、原子核反応では原子の質量のうちmが消失し、エネルギー E=mc2(cは光速)に変化することが明らかになりました。 ●原子力利用の怖さとは? これが「原子力・原子力エネルギー」と呼ばれる膨大なエネルギーであり、平和的に利用すれば大変に価値のあるものでした。しかし、残念ながら人間が最初に利用したのは「原子爆弾」という破壊兵器でした。 これではいけないと気づいた人類が、次に原子力を利用したのが「原子力発電」だったのです。 原子力発電はその初期は大きな事故もなく、静穏に稼働しましたが、半世紀ほどたって装置が巨大化し、人類がその扱いに慣れたころから事故が起こるようになりました。 アメリカで起こったスリーマイル島事故、ソビエト連邦共和国で起こったチェルノブイリ事故、日本で起こった福島第一原発事故などがその例です。特にチェルノブイリ事故と福島第一原発事故の被害の大きさは世界を震撼させました。 これら一連の事故を受けて、原子力発電は稼働させ続ける価値があるものかどうか、世界中で真剣な議論が交わされました。 ●これからのエネルギー問題を考えるために 現代社会はエネルギーなしでは存続できません。現代のエネルギーの大半は石炭・石油・天然ガスという化石燃料に依存しています。しかし、化石燃料の燃焼は二酸化炭素を発生し、地球温暖化、気候変動などの重大問題を起こします。 それを補うかに見えた再生可能エネルギーは、まだ力不足のようです。このような状況の中、現代、あるいは次世代社会はエネルギー、特に原子力とどのように付き合っていけばいいのでしょうか? そのようなことを考えるための資料として役立てていただけることができたらと思い、書いたのが本書です。 したがって本書は決して「原子力発電を薦める本」ではありません。同様に決して「原子力発電に反対する本」でもありません。 原子力発電に賛成するか、反対するかは読者ご自身がよくお考えになって「ご自分で判断すべき事柄」です。本書がそのためのお役に立つことができれば大変幸せに思います。 最後に本書の発刊に多大なご尽力をいただいた坂東一郎氏、入倉敏夫氏、ならびに参考にさせていただいた書籍の著者の皆様方、出版社の皆様方に篤く感謝申し上げます。… もっと見る 齋藤勝裕(さいとう かつひろ) 1945年5月3日生まれ。1974年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了。現在は名古屋工業大学名誉教授。理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。 主な著書として、「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全16冊(東京化学同人)、「わかる×わかった! 化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『マンガでわかる有機化学』『料理の科学』(以上、SB クリエイティブ)、『「量子化学」のことが一冊でまるごとわかる』『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』『「毒と薬」のことが一冊でまるごとわかる』『身のまわりの「危険物の科学」が一冊でまるごとわかる』『「原子力」のことが一冊でまるごとわかる』(以上、ベレ出版)など多数。 ※この情報は 2024.11.19 時点のものです。