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  • 編集部コラム

九段理江さんって…

「うーわ、こんなの無理。無理無理こんなの。マジかこれ。こんな人どこで何してたの? いやーすごいな…」。なんとも乏しい語彙による感想というか嘆きというか感心というか。九段理江さんの初めての単行本に収録されている二篇の小説『Schoolgirl』と『悪い音楽』を読んでいるときの私の心の中でのつぶやき(叫び)です。自分の人生においては国内外問わず、ライトなものから重めの超大作まで、それなりに文学作品に触れてきたつもりでした。ここ最近は、これだけ読んでたらいつか突然、自分でも何か書けるようになったりするんじゃない?とか淡い期待を持つようにもなっていました。第二の人生、作家デビューしちゃう?とか。でもそんな独りよがりで甘美な妄想は、九段さんによって見事に(完膚なきまでに)打ち砕かれたのでした。圧倒的な才能の違い、という一言では済まないくらいの違い。文章から構造から、とにかくめちゃくちゃカッコいい。それでいてしかもちょっと頭おかしい!(いい意味で!)芥川賞の次点となり、受賞を逃したこの作品は、当時、ほとんど本屋さんに並んでいませんでした。こんな才能が埋もれるなんてありえない。すっかりひれ伏すようにファンになってしまったこの作家さんがいつか日の目を見てくれますようにと願うようになりました。『しをかくうま』は『文學界』掲載時に速攻読みました。これも輪をかけて頭おかしい。いやあもう変態です(いい意味で!)。『東京都同情塔』の芥川賞受賞会見で「5%くらいは AI の文章をそのまま使いました」とか言ってしまう九段さん。そんなこと言ったら誤解されるでしょ!と思っていたら本当に思いっきり誤解を招いて大変なことになったのをご存じの方も多いかと思います。でもご本人はどこ吹く風…。さらに驚くことに、ただ応援していただけの一ファンの自分を芥川賞贈呈式に招いてくださったのです。ちょっと頭おかしいですって(感涙…)。なんとお祝いメッセージをくれた人全員を、面識のない人までご招待したのだとか。スケールが違うわ。おかげさまで、日比谷の東京會舘から二次会の銀座まで、夢のような時間を過ごさせていただいたのでした。これからもきっとヒリヒリするような作品を、思うがままに“構築”されていかれることでしょう。その溢れる言葉たちによって。

バンドウ

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