2024.06.28 編集部コラム 本を読んでいますか? 買っていますか? 「本って高いよね」。ある親戚との会話の中で聞こえてきた一言です。私たち本を作る立場からすると、「そんなことない」と思うのですが、頻繁に本を買う人でない限り、案外、日本人の多くはそう感じているのかもしれません。実際、自分の友人や家族など自分の周りを見渡してみると、日常的に本を買っている人は極めてまれです。そもそもあまり読んでいません。読んでいる人でも図書館で借りている人が大半で、買うにしてもメルカリです。 十数年前に他社のあるベテランの編集者に「本はどこで買っているんですか?」と聞いたところ、「本なんて買わないよ」という答えが返ってきてビックリしたことがあります。翻って今現在、書店・取次・出版社に勤めている人たちもどうでしょうか。多くの業界人は日常的に本を読んで、買っているのでしょうか。出版業界の売上減を嘆いている人は、まずは自社の社員がどれだけ本を読んでいるのか買っているのか調べてみたらいいと思います。通勤電車でも家でも、本を読むよりスマホをいじっている時間のほうが長い社員が多いかもしれません。 この業界では「人はふつう本を読むものだ」ということを前提に、本の商売が語られることが多かったように思います。しかし現在、「読まない人」はとても多いですし、読む人でも買ってくれるとは限りません。本が売れなくなったのはなぜか。その答えは、業界人自身の実際の消費行動や購買行動を思い返してみれば、見えてくるような気がしています。 モリ