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  • 編集部コラム

はじめての編集

私がはじめて編集のお仕事についたときの昔々のお話。前の会社に編集の知識がまったくない状態で入った私は、編集者でもある社長から幸運なことにすぐに売れっ子著者を譲り受けて担当することになりました。担当といっても、ほぼ社長が編集したゲラを読んだぐらいで、編集の進行を一緒にやりながら教えてもらったかたちです。編集の基本を教わりつつ著者とゲラのやりとりを何度かやり、印刷前の最終チェックに進みました。当時は、印刷前の段階で感材紙(確かこんな漢字だったかと)というフィルムの役割をするツルツルの紙を印刷所が出してくれて、それで最終チェックと仕上げをします。汚したりしたらそれがそのまま印刷されてしまうぐらい大事な紙です。その紙に、今考えるとかなり衝撃的なのですが、最終段階の仕上げとして、イラストレーターさんが紙に描いてくれたイラストを普通のコピー機でコピーして、それらをハサミで切り取り、事務用のふつうの糊をつけて、その大事な感材紙にペタペタと貼っていきました。「このへんにもイラスト貼ってや」と社長から指示をいただきながら。そんな感じなので、当時はできあがった本にイラストを切り取った影が入っているものが結構ありました。信じられるでしょうか。今やすべての段階がデータ化されているので、何かを直接貼るということはありません。イラストもデータでいただくので、コピーで拡大・縮小して粗くなるとかコピーのゴミが写ることもありません。昔(?)の本はそんな手作りともいえるものでしたが、粗削りな勢いというか、熱が伝わるものがあった気もします。と、そんな時代を知っていますが、最近ベレで唯一、iPadで編集をして本を作ったのは私ですが?

ワタヒキ

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