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  • 著者のコラム

濱田伊織のオーストラリアに暮らしてみれば―毎日がちょっとだけ新しい #4

著者 濱田伊織

第4回:日本とオーストラリアの「つながり」と「これから」

(前回までの記事はこちら)
#1 オーストラリアって、こんなに多彩
#2 アカデミアとオーストラリアでのキャリア—仕事も子育ても?
#3 オーストラリアの職場で成功する:「Collegiality(コリージャリティ)」って?

こんにちは!濱田伊織です。『洗練された会話のための英語表現集』(ベレ出版)などの英語学習書籍を執筆しています。ついにこの連載も最終回。皆さん、最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。今回は、日本とオーストラリアの「つながり」と「これから」について、最新のデータを交えながらお届けします。

日本人、急増中!

最近、オーストラリアに移住する日本人が増えているのをご存知ですか? オーストラリア統計局の2021年のデータによると、45,267人もの日本人がオーストラリアに住んでいるんです。これは10年前と比べて約1万人の増加!
 
ビジネス面でも、日本企業の進出がますます活発です。JETRO(日本貿易振興機構)の2022年の調査によると、オセアニアで活動している日系企業は400社以上。そのうちオーストラリアだけで約300社が活動しており、現地の雇用や技術移転を通じてオーストラリア経済に大きな影響を与えています。
 
さらに、文部科学省の2021年のデータによると、オーストラリアは日本人にとって5番目に人気の留学先。2023年には6,187人もの日本人がオーストラリアに留学しており、前年と比べて驚異の1839.5%増!カナダと並ぶ人気留学先となっていて、その差はわずか500人ほど。
 

日本語人気は衰えず?

また、オーストラリア統計局の2021年の調査によると、オーストラリアで日本語を話す人が約6万人もいるんです! これは2016年の調査と比べて約5%ほど増加しています。日本語がこれだけ話されているなんて、驚きですよね?でも、それには理由があるんです。
 
さらに面白いのが、2022年には、オーストラリアのさまざまな教育機関で約35万7千人の学生が日本語を学んでおり、これはイタリア語とフランス語に次いで3番目に多く教えられている外国語となっています。
 
日本はオーストラリアにとって2番目に大きな貿易パートナー。2021年、両国間のモノ・サービスの往復貿易総額は、872億豪ドルを記録しました。日本とのビジネスがますます活発になっていることで、日英バイリンガルの人材がますます必要とされています。
 

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Photo by Christina Morillo: https://www.pexels.com/photo/woman-wearing-red-and-black-checkered-blouse-using-macbook-1181472/

このような国際的な教育交流が、将来のビジネスや人材の流動性にも影響を与えていくのではないでしょうか。

意外なところで日本文化、浸透!

今、オーストラリアの学校では、多文化教育の一環として、さまざまな国の料理をいわゆるカンティーンと呼ばれる学校の食堂に取り入れる動きが進んでいるんです。オーストラリア政府が掲げる教育方針「Australian Curriculum」でも、異文化理解が重要なテーマとして扱われています。
 
たとえば、ニューサウスウェールズ州が推進する「Healthy School Canteen Strategy」というプログラムでは、健康的な食事の提供が奨励されています。その一環として、日本食も登場!おにぎりや寿司など、ヘルシーで手軽に食べられる日本食は、子どもたちにもすっかり親しまれているようです。

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Photo by Karolina Kaboompics: https://www.pexels.com/photo/woman-using-chopsticks-on-sushi-8547565/

私の子どもたちも学校に持っていくお弁当は日本のもの。友達に「これ何?」と聞かれて、得意気に教えてあげる様子を聞くと、なんだかほっこりします。
 
オーストラリアの学校で日本食が浸透しているのは、単なる食の多様化だけではなく、教育や文化交流の一環としての取り組み。子どもたちが日常的に日本の食文化に触れることで、自然と日本に親しみを持ち、理解を深めていく。未来のオーストラリア人が、日本とのつながりを持ちながら成長していくなんて、ちょっとワクワクしますよね。
 
この傾向がさらに広がり、今後どのように日豪両国の関係に影響を与えていくのか、ますます楽しみです。

4回にわたる連載をお読みいただき、本当にありがとうございました!これからも、食文化や教育、日常のつながりを通じて、さらに面白い未来が待っているはずです。引き続き、日豪の関係が深まることを願っています!


この記事を書いた人:濱田伊織
2006年、オーストラリア政府エンデバー奨学金受賞者として、王立メルボルン工科大学修士課程でコミュニケーション学を専攻、2007年、同大学で修士号取得、成績優秀者として卒業。2012年、食と文化に関する研究を終え、メルボルン大学より博士号を取得。現在、モナシュ大学に在職。専門は社会学、文化人類学。主な研究テーマは、移民の雇用・労働問題、女性の進展を妨げる要因、食文化。主な著書に『CD BOOK 洗練された会話のための英語表現集』『CD BOOK ネイティブのひとりごと英語表現集』(いずれもベレ出版)、『中学レベルで洗練された英会話ができる本』(ダイヤモンド社)などがある。
Website: https://research.monash.edu/en/persons/iori-hamada
Twitter: @hamada_iori

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