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本が親友になるまで

小学生だった頃の私は本が好きではありませんでした。本好きな親は本を読ませようと躍起になっていたそうですが、私はそんなこともつゆ知らず、外で走り回っているような子どもでした。しかし、そんな私に転機が訪れます。それは、転勤族である親の仕事の都合による引っ越しでした。

人見知りの私は、転入してからクラスに馴染めずよく一人で過ごしており、毎日時間を持て余していました。その時の私はクラスでずっと浮いている気がしていて、居心地が悪かったのを覚えています。そんな中、クラスで読書マラソンが開催されていました。読書マラソンは、読んだ本のページ数で競い合うという、担任の先生の独自の試みでした。教室の壁には、ページ数に応じた各生徒のグラフが掲示され、クラス内順位が分かるようになっていました。勿論、本を読まなかった私は後ろから数えた方が早いところにいました。ある時、それを眺めていると何だか恥ずかしくなってきて、私は思わず図書室へ向かっていました。ほとんど来たことがなかった図書室は、本特有のインクと紙の匂いが漂い、本のページをめくる音や、誰かが本を探し歩く足音だけが聞こえ、穏やかな時間が流れていました。私は怪談が好きだったので、怖い話が集まる棚から面白そうな本を手に取り、読み始めることにしました。図書室では各々が読書に集中しているので居心地がよく、休み時間には図書室で本を読むようになりました。しまいには教室や家でも読書にのめり込むようになり、気づけば読書マラソンの順位は、常に上位に位置していました。周りからも、三浦さんは物静かな子から本が好きな子という印象に変わっていき、教室に一人でいることが気にならなくなりました。そして、嬉しいことに国語が得意科目と言えるぐらい成績が伸びていきました。

その頃から、本は私の親友です。いつでも会うことができて、そばにいてくれて、いろんなことを教えてくれる。今度はどんな親友に巡り会えるだろうか、いつもわくわくしながら本屋さんに出かけています。本棚を増築しなければ、と思いながら今日もまた一人、親友が増えました。

ミウラ

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