2025.04.18 NEW 著者のコラム スタンドアップコメディアンBJ FOX モノマネ芸人の英訳の奇遇 著者 BJ FOX(ビージェー・フォックス) (前回までの記事はこちら)「空気もロビーも読んでね」編「名刺をきちんと持って」編 言葉って本当に驚くべきものですよね。例えば、「一石二鳥」という日本語のフレーズと英語の “to kill two birds with one stone” が、まったく異なる大陸で生まれ、同じ意味を持ちながら独立して進化してきたことに感心します。言葉って本当にすごい。最近、私のポッドキャスト「裏技英語」で、また別の素晴らしい文化を超えた翻訳の発見をしました。英語が得意な日本のコメディアンをゲストに招いて話をしていたときのことです。彼女はものまね芸人でしたが、この「ものまね芸人」を英語でどう翻訳するのが正しいのかについて議論しました。彼女は「Impersonator」と提案してくれました。それは惜しいけれど、少し違います。 確かに “to impersonate” は「人を真似る」という意味ですが、どこかいたずらっぽさや胡散臭さを含むニュアンスがあります。ちょっとしたオレオレで電話で名乗っている雰囲気。例えば上司のハンコを使って自分の夏休みを承認するようなイメージです。つまり、“Impersonator” はどちらかと言えば、人を真似て人を笑わせるより人を真似て人を騙す響きがあるのです。 イギリスでは、ものまね芸人が「Impressionist」といいます。「なるほど」でも、そのとても賢いものまね芸人さんがこう言ったのです。「Impressionistって、あの絵描きのことですか?印象派?」と。確かにそうなんです!クロード・モネやエドゥアール・マネで有名なあの印象派芸術運動も “Impressionist” と呼ばれるのです。この翻訳の奇遇にも驚きました。モネもマネもモノマネもImpressionistカモね。言葉って本当に素晴らしいですね! BJ FOX(ビージェー・フォックス)NHK World初のオリジナルドラマ「Home Sweet Tokyo」の脚本家・主役や人気英語学習ポッドキャスト「外資系裏技英語」のパーソナリティとして知られるバイリンガルタレント・コメディアン。 イギリスおよびシンガポールなど東南アジア諸国で英語のコメディアンとしての経験を身につけ、ブラックユーモア満載のブリティッシュスタイルを貫くスタンダップコメディアン。2015年に日本に転勤して以来、日本語でのコメディ活動も開始。コメディの他に、MC、俳優そして映像ディレクター業でも多忙な日々を送っている。2017年には、企画、脚本 執筆及び主人公役を務め上げた「Home Sweet Tokyo」(木村佳乃、渡辺哲 共演)がNHK総合にて放映。国内および海外からの高評価を受け、「Home Sweet Tokyo Season2」(2018年12月放送)、「Home Sweet Tokyo Season3」(2019年12月放送)が放映。 東京の英語スタンダップコメディ団体「Stand Up Tokyo」のファウンダーであり、主要MC。中には週に数回英語スタンダップコメディライブも開催。