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CD2枚付き 場面別ビジネスマンのための英語表現集
関野孝雄

写真:CD2枚付き 場面別ビジネスマンのための英語表現集

この本を書いてみようと思ったきっかけは、以前つとめていた会社でエンジニア達の英語のお手伝いをする機会があったことでした。この会社は昔から海外との取引はありましたが、海外出張や海外との交信は殆んど営業部の英語ができる人達の仕事でした。ところが取引先からの要請もあって海外に工場ができ、今までにも増して仕事にスピーディさが求められる世の中になってくると、どの部門の人達も直接外国へ出かけて行き、自分で自分の仕事をして帰る必要が出てきました。

 この本は、そんなときや外国からお客さまを迎えたときに、どうしても自分で話をしないと仕事にならない場面での表現をまとめて紹介するものです。みんな仕事のうえではプロです。特にエンジニアの人達は専門用語なら英語にも詳しく、技術的な話になれば英語の得意な営業部員の通訳などは役に立たず、黒板に数式でも書けば通じてしまいます。

 という訳で、本書では仕事の中身はさておき、グローバル化が進むなかで、誰にでも必要となり参考にしていただけるシチュエーションの中での例文をとりあげました。多くの会話書ではダイアログ形式になっていますが、本書では自分から言葉を発する必要のある表現だけにしました。日本人なら十数年やそれ以上も英語とのつきあいがあるのですし、ゆっくり話してもらったり聞き返したりすれば相手の話は理解できます。

 例文は、実際に必ず遭遇し現実に必要とする場面だけに絞ることとし、特殊な状況のものはとりあえず省略しました。旅行英会話の本には 「トイレの水が流れないのですが」 という例文が必ず出てきます。しかし開発途上国を含めて多くの国へ出張し、いろいろなホテルに泊まりましたが、トイレの水が流れなかったという記憶はありません。ホテルやフライトの予約も旅行会社に頼めばやってもらえますし、自分で英語を使って手配することも普通ならありません。また泥棒に襲われて助けを求める場面にもとりあえずは遭遇しないものとしました。

 その代わり、ちょっとしたことで随分と役に立った表現をいろいろと思い出しながら書きました。例えば、飛行機で奥の席に座ってトイレに行きたくなっても、最初の頃は隣の人に何と声をかけたらいいのか分からなくて、我慢をしたことがよくありました。あるとき、こちらが通路側のときに、隣の人が May I disturb you? と言ったのです。 「これだっ!」 と思い、それ以来この表現をよく使わせてもらっています。奥の席になっても気分がずいぶん楽になりました。

 最初につとめた会社では、大事なお客さまを泊めたり接待するための迎賓館というものがありました。見晴らしのよい大浴場があって、よく外国のお客さんとも一緒に入りましたが、いつの頃からか壁に Don’t drain the water という張り紙が出されるようになりました。何か事件があったのでしょうか。会社に外国資本が入るようになると外国人の社員も増え、正門前にある地下道入り口のコンクリート天井には Watch your head という大きなサインも現れました。

 そのあとで働いた会社では、米国子会社の壁に 「当社はsmoke-free」 とあり、飛行機で禁煙を強いられてきたスモーカーが、喫煙は自由かと大喜びをしましたが、実は 「禁煙」 だったのです。 「トイレをお借りしてもいいですか」 と言うときに borrow を使うのは間違いで use を使わなければならないとか、年配のご夫婦がエレベーターから下りるとき Excuse us と言っていたことなど、初めて聞いたり知ったりしたときにはとても新鮮に響いたあれやこれやも、この本に織り込みました。

 このように、本書は私の経験をもとにして作ったものですが、みなさんの実務に役立てていただけることを心から願っています。

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