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10日間レッスン これならわかる英文法
清水建二

写真:10日間レッスン これならわかる英文法

 私は予備校や高校で長年教えてきた経験を生かして、いわゆる「大学受験参考書」の類の本を十数冊ほど執筆してきました。そして、その実績が評価されたせいか、十年ほど前に、かつて東大合格者数が全国でもベストテン入り常連の埼玉県立浦和高校で教鞭を執るようになりました。進学校ですから、受験中心の授業を余儀なくされると思っていたのですが、実情はかなり違っていました。
 確かに、進学校である浦和高校では、当然、それなりの受験のテクニックを教える必要はあるのですが、生徒が求めていたものは、知的好奇心をくすぐるような授業や、学問としての英語の奥深さを追求するような授業だったのです。ですから、授業はいつも質問の嵐でした。
 そんな折り、ある出版社から文部科学省検定教科書・ライティングのテキスト作成を依頼され、文法事項のマニュアルの作成を全面的に任されることになりました。そこで、英文法の総復習のつもりで、約半年間に渡って外国の文法書を徹底的に片端から読みあさり、ほぼ完璧なマニュアルを作成することができました(^o^)。
 しかし、その過程で一つ気づいたことがあります。それは、その時までに自分が身につけていた文法の知識には、いかに多くの思い込みや間違いが多かったという事実でした。考えてみると、自分の文法に関する知識の大部分は受験参考書や日本人が書いた文法書によるものであったのです。
 私が一般社会人、特に英語教育に携わる人たちのために語学書を書こうと思ったのはこの時でした。私と同じように、間違った知識を生徒に教えている教員が数多くいるに違いないと確信していたので、さっそく原稿をまとめて、複数の出版社に送ったのです。すると、びっくりしたことに1週間も経たないうちに、ある出版社から返事をいただいたのです。その出版社こそ、現在話題沸騰中のベレ出版でした。「英文法・日本人が繰り返す200の間違い(ベレ出版)」が世に出ることになったのは、それから2ヶ月後のことでした。これが私にとっては初めての一般語学書の出版でした。ただ、残念なことは、この本は内容的に専門的な要素が強かったということと、勉強熱心な英語の先生方があまりいらっしゃらなかったようで、受験英文法打破に向けての起爆剤にはなることがでなかったことです。
 浦和高校の授業では生徒から必ずいろいろな質問が授業中に飛び交います。文法的な質問ならどんな質問でも難なく即答できるのですが、即答できない質問もたくさんあった事も事実でした。今から思うと、即答できない質問のほとんどは素朴なものでした。例えば、「高い塔」を表すa high towerとa tall towerの違いとか、「ボタンを押す」のpush the buttonとpress the buttonの違いなど、普段、ネイティブでもあまり意識しないで使い分けているような表現の違いに関するような類のものが実に多くありました。
 そんな時に思いついたのが、このような質問に対する答えを整理したら一冊の本になるのではないか、ということでした。そこで、数年間ためておいた資料を整理し、次に出版したのが、ベレ出版・第二弾の「似ている英単語使い分けBOOK」でした。この類の本があまりなかったので、売れる自信は多少あったのですが、予想以上の反響をいただき、一応ベストセラーの仲間入りを果たすことができました(*^_^*)。
 話は変わりますが、実は、昨年の4月に同じ埼玉県の県立高校である三郷高校に転勤を余儀なくされてから事情は一変しました。同じ県立教員の身分でありながら、全くの別世界に来たような感じでした。進学校で教えていた時には、ABCを書くことすら覚束ない生徒がいるということは情報としては耳に入っていたものの、実際にそういう子供達を相手に英語を教える状況に直面して、基礎的な英語を教えることの難しさを知るに至ったのです。また同時に、誰にでもわかる英語本を求めている人たちも実に多くいるということも知るようになったのです。
 今までは何か変なプライドみたいなものがあって、基礎的な学習書は誰にでも書けるもの、という意識が強く働いていたせいか、そういう類の本を書く気にはなれませんでした。しかし、今回の転勤に際し、基礎から誰にでもわかる英語本の必要性を痛感するに至り、「10日間レッスン これならわかる英文法」を出版することになりました。
 今後も、この分野での英語本を開拓しようと、目下、新しい企画を練っているところです。

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