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CD BOOK アメリカの小学校教科書で英語を学ぶ
小坂貴志、小坂洋子

写真:CD BOOK アメリカの小学校教科書で英語を学ぶ

1992年9月1日。妻と2人で日本の地を後にしました。予算との相談で2年計画の留学。いわゆる私費留学です。家族、親戚、友人の誰もが無謀な計画だと思ったことでしょう。ですが幸いなことに私たちを引き留める人は誰もいませんでした。

気がついてみると、それから13年。2人とも留学生、就労者、永住者と身分を変え、保育園、幼稚園、小学校へ通う子供の親としての経験をアメリカの地で積むことができました。中でも、小学校での経験は家族にとって貴重なものとなりました。そんな貴重な体験を本にまとめられるのは、ありがたいの一言に尽きます。

かんたんな英語で内容のあるものを勉強したい。こんなご要望に本書はお応えできていると自負しております。ただ小学生だからといって、あなどらないでください。きっと、出鼻をくじかれますよ。これが意外とむずかしいのです。なぜなら小学生の教科書は一国の文化と密接に関係しているからです。

たとえば、国歌。日本の小学生なら学校で国歌を習いますね。でも、日本語を勉強している何人の外国人がその歌詞を知っているでしょうか。「はじめまして」「こんにちは」を知っていても、「君が世は〜」を日本語教育ではあまり教えないので歌詞までは知らないはず。その上、みんなで斉唱したことがない国歌はとてもむずかしく感じるのです。これは歌詞のむずかしさにもよりますが、それを習う必要性の有無にもあるのです。習う必要がないから、これまで知らなかった。知らなかったから、むずかしい。

国歌は、その国の文化を理解するための好材料です。国歌を全面的に擁護するわけではありませんが、小学校で学ぶ国歌の歌詞には、一国の歴史や文化を語るにふさわしい内容が盛り込まれているのは事実です。だから、一国の文化を知るには小学校の教科書にまで立ち戻る必要があるのです。

概念は理解しているけど、それをどう英語で言うの?これも小学生英語をむずかしくする要因となっています。特に算数では、計算のやり方はいいけれど、四角形や長方形を英語でどのように言うのか、というのは、(その分野の専門家を除いて)私たち日本人は本当に苦手です。<概念はかんたんだけれど、どのように言っていいかわからない>単語群は、小学生が使っている言葉に頻繁に見受けられます。勉強だけではありません。遊び、PTA、ランチタイムといった生活面での言葉を意外と知らない人が多くいます。英語圏での生活を経験したことがなければ、それもそのはずです。

わかりやすい英語を学ぶには小学校の教科書を除いてほかにありません。学年が上になるにつれ複雑になっていく概念をどのように教えるか。教科書ライティングのエッセンスが満載となっています。生徒(読者)への問いかけ、比喩、例示、平易な文章、段落の構成などなど。わかりやすい説明文の書き方を知ることもできます。

アメリカとの生活に別れを告げた今年。時を同じくして、本書を出すことができたのは、私たち家族にとってとても幸せな出来事です。私たちだけではありません。読者のみなさんにとっても、アメリカの小学校英語を通して、「生きた英語」を学べるとてもよい機会となること間違いありません。

ぜひ本書をお手にとってみてください。そして、生きた英語を私たちの経験とともに味わってください。では、みなさんのご意見、ご感想を心待ちにしています。

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