検索
  • 著者のコラム

New Yorkers' English ニューヨーカーはこう話す・こう考える
吉村幸子

写真:New Yorkers' English ニューヨーカーはこう話す・こう考える

 2004年の初夏。日差しが強く、でもさらりとした夏の風が心地よいニューヨークに、私は『NewYorkers’ English』を書くため滞在していました。

 「ニューヨーカーの英語をまとめた本を出したいの。協力してもらえる…?」数名の知人にそう告げると、あっという間にその話が広がり、結果として私は34人のニューヨーカーにインタビューできました。そして会う人ごとに「Yukiの夢に協力できて嬉しいよ!声をかけてくれてありがとう!」と肩を抱かれながら言われ、みんなどこか誇らしげな表情で私のインタビューに答えてくれました。本書は心温かな彼らがいたからこそ、完成できたのだと思います。

 読者の皆さまの中には、英語教材を書いた私を、英語で苦労したことがない人だとお思いになる方もいらっしゃるかもしれません。でも本書のプロフィールに書いたように、私は英語を地道にこつこつ勉強してきた人です。幼少期にアメリカのニュージャージー州に6年暮らしていた経験があり、その時は日本語がうまく話せず、どちらかというと日本語で苦労していたのですが、恥ずかしいことに日本に帰国してからは英語を忘れてしまったので、今度は英語で苦労することになりました。まさにそこからが、英語との長く険しい戦いの始まりでした(笑)。

 アメリカ帰りなのに、英語が話せない…、そんな自分が恥ずかしくて、毎日ひたすら英語の勉強。でもどんなに英語を勉強しても、いざ外国人の前に出ると、緊張して冷や汗は出るし、思うように英語が話せない自分にいらだつ始末。「どうしたら外国人とうまくコミュニケーションができるんだろう?」そんなことをモンモンと考え、時には落ち込んだりもしました。

 そうして、ようやく英語を話せるようになってきたのは、高校の時オーストラリアへ留学してからです。この留学では、幼少期以来触れていなかった「本場の英語」にさらされることになりショックの連続でしたが、同時に忘れていた英語を思い出すきっかけとなりました。最初は速くて聞き取れなかった現地の英語も、毎日聞くことできちんと聞き取れるようになり、独特な英語の言い回しや、文化の違いも勉強できました。とまどいと緊張の日々の中「本場の英語は、日本で勉強する英語とずい分違うんだ」とつくづく思ったものです。

 あのオーストラリア留学をきっかけに私の英語力は一気に上達し、今は英語で苦労することもなくなりましたが、でも当時の自分を思い出すと「あの頃は失敗だらけだったけど、めげずによく英語を勉強したなぁ」と、自分で言うのもなんですが(笑)そう思ったりします。読者の皆さまも、私のような経験をされた方がいらっしゃるかもしれませんね。

 英語を勉強していれば、外国人が話す「本場の英語」や「文化や価値観の違い」に戸惑った経験が一つくらいあるかと思います。そこで私は自分の経験を踏まえ、外国人とのコミュニケーションがスムーズにいかない方や、本場の英語にもっと触れてみたいと思う方のために、日本にいながらにして「本場の英語」、「本場の文化や価値観」が学べる本を書きました。本書が皆さまにとって、外国人との素敵なコミュニケーションができるきっかけになりましたら嬉しいです。

 最後に。この本を読んでくださると分かるのですが、アメリカ人だって文法間違いもしますし、言葉につまったりもします。なにも100%完璧な英語を常に話しているわけではないのです。ですから皆さまが外国人と話すとき、相手の外国人からしたら、皆さまの英語が上手とか、下手とか、そういったことは大きな問題ではないのです。それより頑張って英語を話そうとする姿勢、そして英語でお互いを分かり合いたいと思う気持ちの方がよっぽど大切です。単語力とか文法力が全てではないと私は思います。「英語で外国人と素敵なコミュニケーションがしたいんだ!」という気持ちをいつまでも大切に、今後もぜひ英語を学習していただけたらと思います。

<写真はニューヨーク セントラルパークより>

学びたい人応援マガジン『まなマガ』

ベレ出版の新刊情報だけでなく、
「学び」に役立つさまざまな情報を月2回お届けします。

登録はこちら

ベレ出版公式SNS

週間ランキング情報やおすすめ書籍、書店様情報など
お知らせしています。ベレ出版マスコット犬「なみへいさん」の
LINEスタンプが登場!