2006.03.01 著者のコラム 英語はやっぱり英文法岩切良信 もう十数年以上も前のお話ですが、私は脱サラをして、ロシア語の塾を開きました。当時はゴルバチョフ氏が「ペレストロイカ」なるものを掲げ彗星のごとく現れ、世界を席巻していました。〈次期到来!〉とばかりに、勇んで「めだかの学校」のような小さな塾を開設したのです。が、しかし、結論を先に言いますと、まったくの時期尚早だったのです。やむなく糊口を凌ぐために、英語も教えることにしたのです。バブル全盛の時代で豪華な海外旅行などがかまびすしく喧伝されていましたし、英語ブームも手伝って、多くの生徒さんが習いに来てくださいました。ホステスさん、OL、会社の専務や社長さん、自営業の方、はては大学受験生・中高生等々。ありとあらゆる(といっていい)方々に教えました。 当初、「俺よりできる人が習いにきたらどうしよう・・」と不安いっぱいでした。でも、それは杞憂に過ぎませんでした。一部の方を除いて正真正銘の(?)初学者でした。私は戦後のベビーブーム時代に生まれました。いわゆる「団塊の世代」といわれるものには一つ違いで入らないのですが、とにもかくにも常に競争を強いられて、今のこの年に至るまで〈生き抜いて〉きました。 何を言いたいのか、といいますと、今の学校の生徒さんは、私たちの世代では考えられないほどの英語力の無さなのです。確かに、私たちの世代の大学入試は重箱の隅をつつくような問題でした。確かに、振り落とす、そのためだけの入試問題でした。入試の倍率は20〜30倍は当たり前でしたよね、ご同輩! ために、曲がりなりにも英語を勉強しました。発音はともかく単語力はありましたよね。今ですか? 今時の高校生にgo−went−goneはともかく、drawの過去形や過去分詞を言える人は、信じられないくらい少ないんですよ!少子化の恩恵(?)で大学は行こうと思えばいけます。選り好みさえしなければ、どこでもパスできる時代なのです。勉強しないのです。「学ぶクセ」ができていないのです。 本書は、そんな方々に英語を悪戦苦闘しながら教えてきた、その集大成の書なのです。8年前に出版しました前著の読者カードに、「目からウロコ」「分かりやすい」との感想をいただきましたのもそのためなのかと自負しております。サブタイトルの「やりなおし英語のバイブル」とは、おもはゆい感じがいたしますが、どうぞご一読ください。私の世代の方には、入試のために覚えた、あの英語には「そういう意味(文法)があったのか」と、大層な言いようですが〈比較言語学〉として読んでも、けっこうおもしろいと思います。 関連書籍 英語はやっぱり英文法 英語を身に付ける一番の近道! 岩切良信英文法