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  • 著者のコラム

上級英文法
成田修司

写真:上級英文法

この本には「上級英文法」というありふれたタイトルがつけられていますが、最初の企画段階では「宇宙一いやらしい英文法」等のタイトルを考えていました。この場合の「いやらしい」とは「下品でみだら」という意味ではなく、通り一遍の文法理論では対応できない「覚えづらい、学習者泣かせ」の紛らわしい語法・用法が多い点を指しています。

結局タイトルに「いやらしい」と入れる案は「真面目に?語学力向上をはかる目的の本」には不適切という判断でボツになりましたが、内容自体はちゃんと予定通りにいやらしくて変な本が出来ました。第1章の頭から、いきなり例外の単語ばかりがズラーッと並んでいます。単語の意味・用法を一つ一つ載せているのですから、これでは文法書ではなくむしろ単語集です。普通の単語集と異なるのは、アルファベット順とか重要度順ではなく、単語の形や音などで分類した点くらいです。「例外・紛らわしい」以外にも色々と語彙リストがあり、結局一覧表が中心の本になってしまいました。加えてダジャレやお笑い系の英作文テクニック、文化背景もあり、その点でも文法書とは言えません。このままでは「英文法」というタイトルが大嘘つきになってしまうので、しかたなく?文法項目もいくつか選びました。でもこれだって正しい用法を解説というより、怪しくてインチキ臭い文がゾロゾロ並んでいます。ね、やっぱり変でしょ?

私の中学・高校時代は英語など全く縁がない、いわゆる「落ちこぼれ」で、20歳を過ぎてオーストラリアに渡り、当然ながら見るもの聞くもの全てがチンプンカンプンの毎日でした。これではせっかくの海外生活が台無しなので(もっと露骨に言えば金髪の女の子と仲良くできないので)、絶対いつかはペラペラになろうと決めました。それ以降、最大の目的は会話力(口説き力?)向上でしたが、習得方法としては本を読むのが中心となりました。

時は流れ、学費稼ぎに何度か帰国しながらも、オーストラリアで大学・大学院とも英文科に進みました。大学院では文学だけでなく文法や言語学も取りました。という訳で私の英語力は、ほぼ全て英語圏(アメリカにも数年いました)で身に付けたものです。だから大学院を終え日本に帰って英語講師になって初めて、日本ではどうやって英語を教えているのか、どのような文法用語があるのかを知りました。英語圏での英語の教え方を見てきた目からは、一般的な日本の教え方は複雑に感じ、もっとネイティブの言語感覚を分かりやすく伝えることはできないかと模索してきました。

文法書を書いた人間がこんなことを言うのはナンですが、私の文法力がついた最大の理由は、やはり山のような量の文章を読んだことでした。多くの文を読み単語の用法や文章の使い分けのストックが蓄積することで、英語らしい英語ができるのです。でもその長年の積み上げが1冊の本にまとまれば、そこまで大量の文章を読まずとも習得できる、と考えて書いたのがこの本です。試験向けの付け焼刃ではない、底力をつけるのが狙いです。この本を手にした方が英語の奇怪さ、あやふやさを再発見して「この本も変だけど、英語ってものすごく変だーっ!!」と大声で叫んでくれれば、著者として最高に幸せです。

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