2008.03.27 著者のコラム 読む数学 数列と級数がわかる瀬山 士郎 私たちは小学校から数を学びますが、幼児でも数えることを理解します。最初は1つ1つの数として姿を見せますが、すぐに1つずつ増えていく数の集まりとして、1,2,3,・・・という数たちが出てきます。数列というと、私たちはすぐに高等学校で学ぶ、いわゆる数列を思い浮かべますが、じつは振り返って考えてみれば、数たちはその最初から「数の列」として登場してくるのです。自然数の列は立派な数列です。個性を持った数、例えば円周率π、自然対数の底eあるいはルート2などはとても面白く大切な数ですが、ごく普通の数たちでも、それが一続きになり数列となって姿を見せると、そこには大変興味深い性質が出てくるのです。 フィボナッチ数列という数列は1,1から始まって順番に前の2つをたした数を並べた数列で、1,1,2,3,5,8.・・・と続きますが、この数列は自然界にその姿を現すこともあり、n番目のフィボナッチ数が一体何になるのかも大変面白い問題です。あるいは、ある数列の中に素数が無限に出てくるかどうかというのも興味ある問題です。また、数列を+で結んだものを級数といいますが、有限級数の和がどうなるか、あるいは無限級数が実際に和をもつかどうかというのは数学にとってとても重要な問題です。分数の数列、1、1/2、1/3、1/4、・・・・を調和数列、また+で結んだ級数を調和級数といいます。調和という名はこの数列が和音と深く関係していることからついた名前ですが、この級数が和を持つかどうか、あるいは平方数の逆数からできる級数が和を持つかどうかなどは、数学史のなかでも大切な役割を果たした難問題でした。この本では数列や級数の数学的な厳密な理論に踏み込むことより、数列や級数の不思議で面白い性質を直感的に扱うことを目指しました。ところどころにパズル的な問題やちょっと常識とかけ離れた不思議な現象なども織り込みました。本書で数列、級数の面白さ、不思議さを楽しんで頂けると幸いです。 関連書籍 読む数学 数列と級数がわかる 数の列が織り成す数学の世界を眺めてみる 瀬山士郎数学