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論理的で正しい日本語を使うための技術とトレーニング
木南法子

写真:論理的で正しい日本語を使うための技術とトレーニング

 私が大学時代に所属していたサークルの後輩に、「僕は日本語が下手でねえ」と繰り返し言っていた人がいました。彼はどう見ても日本で生まれ育った日本人でしたが、大勢の人の前で話すとき、彼が言いたいことは聞き手には伝わりにくいようでした。彼には当時大勢の前で話す機会が週1回はあり、人前で話すのが苦手というわけではなさそうで、全然緊張しているようには見えなかったのですが、彼の話はおそらく誰にとってもいまいちわかりにくかったと思われます。彼自身もそれを自覚していて、「日本語が下手だ」と弁解していたようです。彼に限らず、自分の日本語力に問題があると感じている日本人は案外多そうです。

 また、「自分はコミュニケーション力に問題がある」と感じている人の中には、実は日本語力に問題がある人もいるのではないかと思われます。例えば、ある人が私宛に送ってきたメールには何回読み返しても意味が全然わからないものが多く、当惑した覚えがあります。私は外国人が書いた日本語の作文を添削した経験が10年近くあり、意味がわからない箇所は、たいていの場合、前後の文脈から見当をつけることができますが、彼のメールにはそのやり方は全く通用しませんでした。また、彼が言いたいことも聞き手には全然伝わらないことが多かったようです。彼の日本語のレベルは中級の下ぐらいの外国人学習者とほぼ同じだと思われたので、「彼は外国で育った人なのかもしれない」と私は思っていましたが、実は彼は日本で生まれ育った日本人でした。彼は、「コミュニケーション力を向上させたい」とは思っていたそうですが、自分の日本語力に問題があるとは夢にも思っていなかったようです。

 上記の2人と同じ問題を抱えている人たち、つまり、自分の日本語力またはコミュニケーション力に問題があると感じている人たちは、拙著『論理的で正しい日本語を使うための技術とトレーニング』を読めば、「自分の言いたいことがどうして相手に伝わりにくいのか」がわかると思います。特に、第1章「論理的な日本語の発信力を高めるためのトレーニング」、第2章「文章を書くための技術とトレーニング」、第3章「美しい話し方と効果的なスピーチをするための技術とトレーニング」、第6章「手紙&ビジネスメールの書き方トレーニング」を読み、練習問題に挑戦することによって、自分の言いたいことをわかりやすく伝えるための技術を身につけることができるでしょう。

 自分の日本語力またはコミュニケーション力に問題があると感じている人たちだけでなく、日本語力にかなり自信をもっている人でも、日本語の文法・語法の見地から見ると不正確な日本語を使っているケースは案外多いようです。私が10年以上前に在籍していた日本語教師養成講座の同級生の中にも、拙著でも取り上げた「違くない?」が正しい言い方だと思い込んでいた人や、「『〜だろうから』という言い方はできるが『〜だろうので』という言い方はできない」と聞いたとき、「『〜だろうので』という言い方もできると思っていた」と言った人もいました。彼女たちは日本語教師になりたいという人たちでしたので、当然日本語力には自信があったと思いますが、それでもこのような間違った思い込みをしていたのです。実は私自身も「種々雑多」は「しゅしゅざった」と読むのだと思っていましたし(正しくは「しゅじゅざった」です)、「独壇場」(どくだんじょう)という言い方は間違いで、「独擅場」(どくせんじょう)が正しいのだということを知りませんでした。

 このように、自分の日本語力に自信がある人でも間違った思い込みをしているケースは多いようですが、そのような人たちも、拙著を読むと、自分が正しいと信じていた言い方が実は「変な日本語」だったとわかるかもしれません。特に、第4章「日本語の文法トレーニング」、第5章「日本語の表記(送り仮名や仮名遣い)を学ぶ」、第7章「語彙力・漢字力トレーニング」の練習問題にチャレンジしていただけば、確実に「正しい日本語」を身につけることができると思います。

 拙著の第8章は「最難関大学入試国語の問題にチャレンジ!」で、東大と京大の過去の入試問題を取り上げました。「なぜ入試問題を解かなければならないの?」と思う人も多いでしょうが、この2大学の問題に挑戦すると、論理的でわかりやすく、正しい日本語で解答を作成することができるかどうか、力試しをすることができるのです。第1章から第7章まででトレーニングしたことが身についているかどうか、この問題を解くことによって、ぜひ確かめてみてください。

 拙著の副題は「スピーチ・面接・小論文に有効な日本語力」ですが、拙著を読み、練習問題を解くことによって培われる日本語力はビジネスでも役立つのではないかと思います。拙著を活用することによって、1人でも多くの人が日本語力を向上させることを願ってやみません。

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