2008.09.16 著者のコラム 語りかける中学英語東後幸生 今回は男らしく花についてふれてみたいと思います。「どこがやねん。」「なんでやねん。」という声が聞こえたような気がしますが、たぶん気のせいでしょう。話を進めます。 私が小学生のころ、母の日が近づくと学校へ10円を持っていって、安全ピンのついた作り物のカーネーションをもらって(買って)、家に帰って母親に渡すという行事がありました。これを6年間くりかえしたんです。 中学1年になり、私は今年から花がないなと気づき、母にカーネーションを買ってあげようと何故か思ったんですよ。自転車で町の花屋さんに行って、花束をつくってもらっているとタイミングの悪いことに、同じ村のおばさんたちがこちらを見て「東後さんの息子さんだわ、お母さんに花を買ってあげるのね。」と言っているのが聞こえました。いやはや恥ずかしい限りでした。 家に帰ると母はとなりのおばさんと話しているところで、どうしようと思いましたが、私は2人の横を通るときに「ハイ、これ。」と言って花束を渡したんです。母は笑みを浮かべて「きれいね、これどうしたの。」「今日、母の日。」と答える私、そんな感じでした。 その日から11ヵ月と数週間がたったある日、私がカレンダーを見ていると台所で洗い物をしている母が「何を見てるの、もうすぐ母の日だから今年もカーネーションを買おうか迷ってるの、おこずかいが減ってしまうし、気持ちだけでいいわよ。」と言ってくれました。「考えとく。」と言って振り向くと母は、昨年のカーネーションを飾っていた花瓶をまさに洗っているところでした。花瓶を出してきて洗いながらそう言われてもなー、うちの母親もかわいいところがあるなと思いまして、すぐに考えがまとまりました。もちろん花屋へ行きましたよ。 次の年も次の年も大人になっても母の日には赤やピンクのカーネーションを買っていました。ある年から白いカーネーションになりましたけどね。 中学生だった私が、ずっと花を買い続けたのはやはりあの笑顔でしょうね。想像すらできない素敵な笑顔でした。花をもらった母もすごくうれしそうでしたけど、きっと私もそんな母を見て笑顔だったんだろうと思います。 花は美しいと思います。そして花のある思い出は、それ以上に美しい。 さて、2年の沈黙をやぶって新刊『語りかける中学英語』が生まれました。 私自身が驚くほどの内容になりました。本当にむずかしい言葉を使わずに英語は説明できるんだと。次の扉を開けてゆくのは楽しいですよ。ちょっと一息のコーナーもいいかも。 私がこの本に出会いたかったと思う今日このごろです。 関連書籍 語りかける中学英語 いっしょに進む、いっしょにわかる。まるで家庭教師のような一冊! 東後幸生英文法