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  • 著者のコラム

第3回 心の4機能と英語学習

著者 こいけかずとし(フィロソフィア英語教室代表)

第2回ではユングの性格タイプ論から外向と内向について紹介しました。

「第2回  外向・内向と英語学習」より抜粋
「第2回 外向・内向と英語学習」より抜粋

ユングの性格タイプ論にはもうひとつの重要な要素があります。

それは心の4機能です。

心の4機能

ユングは心の機能を思考・感情・感覚・直観の4つに区別します。

思考と感情、感覚と直観はそれぞれ対立する機能です。

心の4機能
心の4機能

人は4機能のうち、ひとつの得意な機能を優先的に使います。

優先的に使う機能は主機能となり、残りは補助機能および劣等機能となります。

例えば思考タイプの場合、思考が主機能になり、感覚と直観が補助機能に、思考と対立する感情は劣等機能になります。

心の4機能
思考タイプの心理機能

図にある「相互に補償的」というのは、外向・内向の補償的関係と同じです。

ひとつの機能が意識で強く用いられると、対立機能が無意識に現れてバランスを取ろうとします。

無意識なのでコントロ-ルができません。

例えば思考タイプの場合、思考と対立する感情が意識によって抑圧されます。

感情があまりに抑圧されると、暴発して気分が不安定になったり、無意識に攻撃的な振る舞いをしたりする可能性があります。

8種類の性格タイプ

「外向/内向 × 思考/感情/感覚/直観」の組み合わせで性格を8タイプに分類するのがユングの性格タイプ論の特徴です。

8種類の性格タイプ
8種類の性格タイプ

性格分類はさまざまな角度からものごとを見ることを可能にしてくれます。

仕事や生活や人間関係など幅広いところで応用可能です。

特に生きづらさを感じている人にとっては自分と世の中を見つめ直すための良い手引きになります。

性格タイプ別の英語学習

それぞれのタイプに適した英語の学習方法を考えてみましょう。

思考タイプは意味づけを重視します。

おもしろさよりも実用性が鍵です。

英文法や精読など理論的で目的や効果がわかりやすい学習だと取り組みやすいでしょう。

多読多聴や英会話など目的や効果がわかりづらい学習は、事前にはっきりした説明があると抵抗なく取り組めると思います。

外向思考タイプには発言しやすい少人数制の授業、内向思考タイプには講義形式の授業がおすすめです。

感情タイプは感情価値(好き嫌い)を重視します。

実用性よりもおもしろさが鍵です。

多読多聴や英会話など楽しさを感じやすい学習だと取り組みやすいでしょう。

英文法や精読など理論重視の学習は、小分けにして少しずつ進めるのが良いと思います。

外向感情タイプには英会話、内向感情タイプには多読多聴がおすすめです。

思考感情判断機能と呼ばれ、自分にとって非合理的なものを排除します。

したがって合理的機能とも呼ばれます。

やる意味づけや楽しさなど何らかの理由があるとスムーズです。

感覚タイプは事実性を重視します。簡単に言えば体験ですね。

だから五感を刺激することが鍵です。

音読・多読多聴・英会話・英作文など目・耳・口・手をフルに活用する学習だと取り組みやすいでしょう。

それぞれの学習の関係性に意識を向けると段階的に無理なく進めることができてさらに良いと思います。

外向感覚タイプには英会話、内向感覚タイプには絵本や朗読音声や映画を活用した多読多聴がおすすめです。

直観タイプは可能性を重視します。

だから新しい可能性を予感させることが鍵です。

「基礎→多読多聴→英会話」などのように学習の背後にある過程がイメージできると取り組みやすいでしょう。

新しい可能性を追求してばかりでなく、目の前にある課題をひとつひとつこなすとさらに良いと思います。

外向直観タイプにはさまざまな人の意見を聞き比べること、内向直観タイプにはさまざまな英語学習書を読み比べることがおすすめです。

感覚直観知覚機能と呼ばれ、目の前に現れるものを判断せずに知覚します。

法則的なものも偶然的なものも取り込むので非合理的機能とも呼びます。

合理性は重要でなく、何でもまずは試してみるのが特徴です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ただタイプ分けするのが性格タイプ論の目的ではありません。

自分の得意・不得意を知り、適切な選択ができるようになることが目的です。

得意な学習や好きな学習は放っておいてもやるでしょうからあまり問題になりません。

しかし得意なものや好きなものばかりだとどこかで限界が来ます。

その時は自分が苦手な分野に目を向けてみてほしいです。

きっと新しい発見があるはずです。

おまけ

第2回で紹介した入門書を読んで楽しめたならユングの著作もおすすめです。

『タイプ論』 C. G. ユング
『タイプ論』 C. G. ユング(みすず書房)
(読みやすさ★☆☆/深さ★★★)

情報量が多いのですがきれいに整理されています。

一度読んだ後は、知りたいことがある時に辞書的に使うのも良いと思います。


記事を書いた人:こいけかずとし
東京大学仏文科卒。
フィロソフィア英語教室代表。
『マンガ こんなに効く!英語多読多聴マニュアル』(ベレ出版)
『英文が読めるようになる マンガ英文法教室』(ベレ出版)

著者

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