検索
  • 著者のコラム

英会話学習に行き詰ってしまっている⼈にぜひ活用してほしい、TOEIC® S&Wはこんなテスト!#3

著者 富岡恵(英語パーソナルトレーナー・⽂筆家・講師)

第3回:受験体験記その2 −大学生Kちゃん編

前回の筆者の受験体験記に続きまして、今回は個人レッスンの教え子・大学生Kちゃんの受験体験記。ご本人の了承を得て、今回もトレーニングから結果までお伝えします。TOEIC®︎ L&RテストとS&Wテストのトレーニングを同時に進めた具体例です。

まずはL&Rから。

某大学への編入に向けてTOEICのスコアが必要だ!と準備を開始したのが約1年前。その時はまだTOEIC®︎ L&Rは1度だけ、S&Wは未受験だったKちゃん。月1回の個人レッスンでスコア取得に向けて学習をスタートしました。

中学・高校の授業で英語に触れていたとはいえ、TOEIC®︎で扱う「ビジネス英語」は初めて。まずはL&Rで基本語彙と文法を強化して、500点が取れるぐらいになってからS&Wへ進む計画を立てました「聞く」「読む」というインプットを鍛えてから、「話す」「書く」というアウトプットへ。これは学習を進める上で順当な流れです。聞いたことのない単語は話せませんし、読んだことのない文法は書けませんもんね。そして、第1回目でもご説明した通り、TOEIC®︎ L&RとS&Wには共通点がたくさん。L&Rで学んだ知識はS&Wで存分に活かせます。

トレーニングスタート!

手始めに、TOEIC®︎対策でおなじみ「公式問題集」(国際ビジネスコミュニケーション協会)と、筆者が出版した「TOEIC®︎テスト書きこみノート」シリーズ(学研)、そして語彙強化はスマホアプリmikanと「TOEIC®︎ L&Rテスト 出る単 金のフレーズ」(朝日新聞出版)から。

「公式問題集」はたいていどこの本屋さんにも置いてありますが、オススメなのは最新刊に近いもの(2022年5月現在だとvol.8が最新刊)。古すぎるものだと簡単すぎたり難しすぎたり、今の難易度や出題傾向が異なることもあるからです

拙著「書きこみノートシリーズ」は入門編・文法編・単語&熟語編・全パート攻略編と徐々に難易度を上げながらの反復練習用に。「テキストを1冊ずつやり終える」ということを通して、英語学習のモチベーションを高めていきます。(脱線しますが、実はこの頃、Kちゃんにオススメした4冊をギューと凝縮したような本ビギナーのためのTOEIC L&Rテスト全パートチャレンジ![音声DL付]』を執筆中でした。本の詳細は記事の最後のリンクからどうぞ!)

語彙増やしは、本格的な単語帳に入る前にスキマ時間に比較的手軽に取り組めるmikanから始めて、TOEIC®︎単語に慣れてきたところで「金のフレーズ」に進んでもらいました。学習手順は例文を音読、書き出し、それを反復。出来るだけ多くの単語の意味がパッと分かるように練習を重ねます。

テキスト選びのコツ

少し脱線しますが、テキスト選びのコツは、「自分にとってやりやすいかどうか」「本を開こうという気持ちになるかどうか」を感じてみる、ということです。書店に並んでいる本は、どの著者も編集者も時間とエネルギーをかけて、丁寧につくったものばかりです。そんな本の中から選ぶ最後の決め手は、読者のみなさんの使いやすさや好みです。厚さや重さ、紙の硬さや柔らかさ、文字の大きさ、フォントの雰囲気、イラストの有無や解説文の調子などなど、本にも相性みたいなものがありますよね。そのあたりを体感しながら選んでいくと、長く愛着をもって学習できる本に出会えると思います

いざテスト受験へ!

話をKちゃんに戻すと、半年ほど語彙を増やし、問題に慣れてもらって、まずはL&Rから受験シーズンに突入。L&RもS&Wもできるだけ毎月受験してもらうようにしました。初回受験で実力が十分に出るケースはごくまれで、形式に慣れてきた3回目ぐらいでようやくトレーニングの効果が表れてくるという場合がほとんど。TOEIC®︎はL&RもS&Wも地域によりますが、毎月実施されているので、スコア提出期限が決まっている場合は、ベストスコアが出せるように逆算してスケジュールを立ててみてください

「Meglish流・Kちゃんトレーニングメニュー」

スコアアップに向けて学習を始めてから半年は「なんだか不安になってきちゃって…」という言葉をもらしていたKちゃん。私からのアドバイスは「不安解消には反復練習あるのみ!」。一晩で「全部分かるぜ」「すっかりぺらぺらですわよ」なーんてことはなくって、毎日少しずつ、超地道な練習の繰り返しがものを言います。新しい言語を定着させるには反復練習が不可欠なのです。月1回の個人レッスンでは、具体的なトレーニングメニューの確認、疑問点の解消、そしてモチベーション維持の考え方も伝授。「公式問題集」を使って、L&RテストのPart1から7まできっかり2時間かけて本番さながらに解いてみる「通し解き」も定期的にやってもらいました。素直なKちゃんは、毎回こくりと頷いて、前向きに取り組んでくれたのでした。

その後、受験を重ねるごとに気合いがどんどん増すKちゃん。顔つきも眼差しもきりり。「もっとトレーニングしたいですっ!」という情熱に応えて、改めてがっつりトレーニングメニューを組みました。この頃Kちゃんは「文法をもっと鍛えたい!」と感じ、「TOEIC®︎ L&Rテスト 文法問題 でる1000問」(アスク出版)を自発的に入手していました。それを知った私は「そうそう!どんどんやってみて!!」とメガネを輝かせて大応援。トレーニングメニューに即採用しました。

当初の計画通り、L&Rで500点を超えたところで、S&Wの受験もスタート。テキストは「TOEICテストスピーキング/ライティング総合対策」(旺文社)を使ってもらいました。

Kちゃんはこのメニューをお手製ポスターにして、部屋に貼ってくれていたそう!タイトルは「Meglish先生無敵メニュー」(Meglishは筆者の愛称)!

お手製ポスター
▲Kちゃんお手製のポスター。本気度が伝わってきますね。

手書きの文字から溢れる気合い!この自発的な行動に感激しました。

mustからwantへ。「やらされる」ではなくて「やりたい」と思えるかどうかが、「継続学習」と「上達」の鍵です。(またもや出ました、前回から鍵だらけ。)

このトレーニングメニューを1ヶ月続けて、さらにバージョンアップ。文法強化に続いて「L&RのPart7も鍛えたい!」とのこと。合点承知!と喜んでメニューに追加。体調や大学の授業、バイトのスケジュールなども聞きながら、無理のないメニューにしました。

お手製ポスター

「これでやってみます!」と、力強い言葉を受けて、「今のKちゃんなら絶対いける」と信じ続ける私なのでした。

待ってました、結果発表・・・!!

朗報は突然やってきました!L&Rは585S&Wは240をマーク。私の予想より早く、目標スコアに到達したKちゃん!!この朗報メールをもらった瞬間、歓喜する私。スマホ片手にすぐさま踊り出したのは言うまでもありません。おめでとうー!You made it!!

L&R 初回受験 【325】 →  1年後 【585】
S&W 初回受験 【180】 → 3ヶ月後 【240】

初めて受けたL&Rから1年で260点UPS&Wは3回目の受験で初回から60点UPという目覚ましい成長を遂げたKちゃん。ずっとオンラインだった大学の講義でも優秀な成績をおさめつつの、この結果。本当によく頑張りました(拍手の嵐、再びの舞付き)!前向きかつ自主的に学習を続けていると、結果は自ずとついてきますね。Kちゃんがばっちり証明してくれました。

改めて振り返ってみると、L&R同様、S&Wについても「慣れ」が大事でした。どういう問題が、どういう流れで出題されるのかに慣れること。それから、このセリフなら確実に言える、という「型」をつくること

そして、私がいちばん強調したいのは、「強み」を伸ばすトレーニングをすることです。L&Rに取り組んだ時点でListeningのほうが楽しくて、「音」が強みだったKちゃんには「音声活用大作戦」を敢行してもらいました。とにかくたくさん聞きまくる。単語帳でも、文法問題でも英文を声に出して音読する。とにかく「音」をからめたトレーニングをしてもらったのです。トレーニングと受験を重ねるごとに「聞き取れる実感が湧いて楽しくなってきた」とKちゃん。たくさん聞き、音読するトレーニングはSpeakingにも効果絶大で、少しの練習にもかかわらず発音とイントネーションの評価がしっかり上がるという結果をもたらしたのです

ReadingやWritingの「文字」の強化については、模範解答のタイピングをしながら、早打ち強化「型」覚えL&Rで目にしていた単語や表現は、S&Wにもたくさん出てくるので、知識の定着が図れたはず。その結果、ReadingとWritingのスコアも着実にアップ。「聞く」と「話す」、「読む」と「書く」は繋がっていますね

見事、目標達成を果たしたKちゃんからは「無敵メニューで自己ベスト目指して頑張ります!」との嬉しいお言葉をいただきました(感涙)!

そうです、どんな資格試験も「通過点」。上達のステップにすぎません。その先に広がる世界や人との出会いのために、これからもどんどん腕を磨いてほしいな、と切に願う私です。楽しく続ければ続けるほど上達するのが、言語学習のいいところ!

ということで今回は、連載テーマのS&Wテストに加えて、Kちゃんの実話をもとにL&Rテストについても触れました。すでにL&Rを受験されているみなさんも、その知識を活かせるS&Wにぜひチャレンジしてみてください。知識やスキルがさらに定着して、深まること請けあい!「話す」「書く」というアウトプットを体験することで、みなさんのスキルも見える世界もぐんと広がります

次回の最終回では、TOEIC®︎ S&Wを受けるメリットとオススメ勉強法をまとめてお伝えしたいと思います。

See you next week!


記事を書いた人:富岡恵(とみおか めぐみ)
英語パーソナルトレーナー・講師・文筆家。東京外国語大学英語専攻卒。個人レッスンや大学などでの講義、執筆活動を通して、自分に合うやり方で楽しく取り組む学びを推進している。学び方が分かる「3S分析®」を開発し、各地で「英語の楽しみ方・学び方セミナー」を開催中。著書に『TOEICテスト書きこみノート』シリーズ、『高校英文法をひとつひとつわかりやすく。』、『しゃべり「型」英文法』(以上、学研プラス)、『寝ながら学べる英文法』、『マンガと語呂で一発暗記! ゴロゴロ英単語』、『[音声DL付]ビギナーのためのTOEIC L&R テスト全パートチャレンジ!』(以上、ベレ出版)などがある。英検1級・TOEIC® L&Rテスト満点取得。カフェ巡りが日課で、毎日楽しいことをしてメガネを輝かせている。
公式サイト:https://meglish.jp

学びたい人応援マガジン『まなマガ』

ベレ出版の新刊情報だけでなく、
「学び」に役立つさまざまな情報を月2回お届けします。

登録はこちら

ベレ出版公式SNS

週間ランキング情報やおすすめ書籍、書店様情報など
お知らせしています。ベレ出版マスコット犬「なみへいさん」の
LINEスタンプが登場!