2021.02.09 社長コラム 本づくりの現場 出版業界以外の方がベレ出版にお越しになると、「ここで本を作っているんですかぁ、すごいですね!」と言って感動されることがあります。また、書店員さんに「オフィスを見学したい」と言っていただくこともしばしばあります。 そう言っていただけるのはとっても嬉しいのですが、特段変わったところのない、ごく普通のオフィスです。 工場ではありませんので、当然ながら、物体としての「本」は、オフィスでは作っていません。本やカバーの印刷は、印刷会社さん、本を形にする製本は、製本会社さんにお願いしています。 これまでに何度か、印刷工場や製本工場を見学する機会をいただきました。 これが、(オフィスと違って)実におもしろいです! 印刷機は、家庭用のプリンターとは当然ながら大違いで、機械の大きさや動作、職人による色味の調整、印刷ミスの防止や早期発見のテクノロジーなども興味深いです。 また、製本会社さんでは、そもそも製本以外で目にしたことのない、レアな機械がたくさん出てきます。 大きな紙を折る「折り機」、折った紙を揃える「丁合機」、それがコンベアに乗って糊付けされ、表紙を付けられて……。よくよく見てみると、一つ一つの動作は「人間の動作を機械で代替した」ことがよくわかる、なんともアナログでシンプルなものです。 その分、「どのように本ができていくか」という過程をわかりやすく見ることができます。 出版社は、本を作る会社=メーカー、とされることもありますが、実際は、製本会社さんや印刷会社さんの手を借りてはじめて本を作ることができます。 電子書籍が普及してきて、便利な面も多々ありますが、製本や印刷といったモノづくりの現場を一度見てしまうと、やはり「物体としての本」への愛着は捨てられません。 「本は紙」という時代が、まだまだ続くような気がしています。