2021.06.08 社長コラム がんばれ、“重たい本”を運ぶ人 引っ越しをするとよくわかるのですが、本ってやつは、重たいです。段ボールいっぱいに本を詰めると、底が抜けます。そんな重たい本を、全国の書店さんに運ぶ役割を担っているのが、出版業界で「取次会社」と呼ばれる皆さんです。(ちなみに「販売会社」とも呼ばれます。)一般的な用語で言うと「卸業者」「問屋さん」にあたります。出版社の本を全国の書店さんに運ぶとともに、その代金を書店さんから回収して出版社に支払ってくれる、出版社にとって、ありがたーい存在です。 この「取次さん」、出版業界に不可欠な存在なのですが、ことあるごとに、書店さん、出版社の双方から文句を言われやすい立場にあります。「出版業界は返品が多すぎる」「頼んでもいない商品が届く」「書店さんが注文した商品がそもそも届かない」など、出版業界の現状がネガティブに報じられるときにも、「取次が諸悪の根源」のように言われがちです。実際のところ、出版業界の独特な取引のしくみは、おおむね、取次さんの存在を前提につくられていますので、業界のシステムを批判すると、取次さん批判に繋がるのはある程度、致し方ない面もあります。 しかし、多様な書籍が、安価に日本全国に流通されるのは取次さんのしくみのおかげなのも、また事実です。少なくとも、ベレ出版のような小さな出版社の本が、全国津々浦々の書店さんに届くのは取次さんのおかげで、足を向けて寝られないところです。 時代の変化に応じて、取次さんも変化を迫られ、生まれ変わるために試行錯誤をされています。「重たい本を運ぶ」という重たい役目を今後も果たしていただくようがんばってほしいので、あまり悪役にしないであげてほしいと思います。まあ、たまには、いろいろ言いたくなるときもありますが(苦笑)、日頃の感謝とエールを送ります。