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体を鍛えることと語学学習の共通点について #2

著者 恒石昌志

体を鍛えることと語学の共通点

第1回は自己紹介と私の筋トレ経験をお話ししました。ここから体を鍛えることと語学学習について本題に入りたいと思います。

前回の終わりは、筋トレに関しては既に方法論が昔から確立されているという話をしました。筋トレの方法論というのは具体的に、一部位につき、週3回の頻度で、ベンチプレスなら10回を3セットやるというものです。もちろん8回を4セットとかいろいろバリエーションはあります。ですが、言ってしまえばこれだけなのです。

ですが、毎年、「今度こそこれで筋肉ムキムキになり痩せられる新トレーニング法」のようなものが出版され消えていきます。そのうちの多くは、一時期は流行ったりします。YouTubeで検索すれば、胸を鍛えるにはどのトレーニング種目がいいかなど動画が山ほどで出てきます。

語学学習も似た点があります。語学の学習法というのもある意味昔から既にいろいろなものがあります。有名な語学の達人と言われ、トロイアを発掘したドイツの考古学者シュリーマンが行ったといわれる暗唱、洋書の多読、ネィティブスピーカーとの文通、このように勉強法は既に出尽くしています。更には技術の進化でこれらの学習がもっと簡単にできるようになっています。
例えば、昔は文通相手を探すというのは、容易ではなかったでしょう(私も文通をしたような世代ではありません)。いまは言語交換を目的としたSNSで簡単に相手が見つかります。海外の雑誌のサブスクリプションもできますし、YouTubeで暗唱したい英文の映像も見られます。

トレッドミルの画面の上に置かれたiPad
Kindleで洋書を読みながら歩く
トレッドミルの上でも読みやすいようにフォントを大きめにできるのもお気に入り

でもどうでしょうね、世の中英語がペラペラな人で溢れていますか? もしくは、筋骨隆隆な人で溢れていますか?

そんなことはありませんね。では、やっぱり方法論が悪いんでしょうか? 繰り返しになりますが、私は、語学も筋トレも方法論は出尽くしていると思っています。
では、なにが原因でうまくいかないのでしょうか?
これは王道の方法論というのを続けることができないからです。語学学習も体を鍛えることも結局は続けることが大事です。これは100万編も言い尽くされた言葉だと思います。では、どうやったら何十年、ひいては一生続けるような習慣が身につくのでしょうか?

ある程度の上級者になると習い事に習熟するためのルーティーンが空気のようになるので維持するのは簡単になります。問題はその域にどうやって達するかです。ここからいろいろとテクニックを紹介したいと思います。

習慣化のコツ-見える化

ひとつめの方法は見える化です。
体を鍛えていて何が嬉しいかというと2つあります。ひとつは挙げられる重量が伸びたときです。もう一つは(特に異性から)身体が変わったと指摘されるときです。
これには記録をつけることが大事です。
私はトレーニングの日にちと種目、挙げられた重さ、回数をすべてiphoneのメモで記録しています。

筋トレする様子
背中を鍛えるLat pull downと呼ばれるマシン
初めて挑戦した頃から挙げられる重りは今では2倍に
他人との比較でなく、過去の自分との比較が大事

英語学習については、あまりにも空気化しており、ほっておいても一日のうち半分は英語で情報処理をしているので記録は付けておりませんが、人には学習日記をつけることをおすすめしています。
例えば、なんの参考書を何ページ読んだ、暗唱したなどをメモに残すのです。ほどんどのオンライン英会話のappでも通算の学習時間など表示されます。徹底的に自分の行ったことを数値化し記録することが大事です。
私の腕時計はApple Watchで毎日の歩数、消費カロリーがひと目でわかります。一日新幹線や飛行機の移動で歩数が伸びない時は、できるだけ翌日多く歩いて調整します。私にとって一日10,000歩歩いていないと気持ち悪いのです。
ちなみにこの10,000歩というのは、そこまで強いメディカル・エビデンスはないようです。恐らく毎日7,000歩ぐらい歩けばいいのではないかと思います。

トレッドミルの画面の上に置かれたiPad
トレッドミルで歩きながらThe Economistを読む

語学学習も体を鍛えることも、毎日の稽古の量を定量化し、記録すること、できるだけ毎日の習慣にすることが大事です。(第3回につづく)


記事を書いた人:恒石昌志(つねいし まさし)
高知県生まれ。高校の時から英語を独学し、19歳でオーストラリアのシドニーに渡りThe University of Sydneyで英語を学ぶ。その後、現地で経営学を学び、日本に帰国。
現在は東京に在住し、ITサービス・インフラ構築などの海外プロジェクトに携わっている。独学で英検1級、TOEIC990点、通訳案内士(英語)、観光英検1級、情報処理技術者資格などを取得。生まれ故郷高知県の観光特使(学識経験者)も2013年から務めている。所属学会:日本言語学会

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