2019.06.27 編集部コラム 免許を失効した話 昨年の暮れ、普通免許が7か月ほど失効していることに気付きました。引越しをして長いこと免許証の裏の住所の更新を忘れていたのです。6か月以上1年未満の失効は、仮免から再スタートしなければなりません。そして、仮免を取得してから半年以内に免許を取得しなければ、その仮免すら消えてしまいます。 ことが発覚してから2か月間は心が沈みました。私は普通免許を取ってからというもの、たった一度も公道を走ったことがなかったので、再び教習所へ通わなくてはならないのを覚悟しなければいけませんでした。「出費・・・」どんなに楽しい時間にあっても、ふと現実があらゆるものを押しのけて心の中に立ち現れました。「(失効が発覚するまでは)あんなに幸せに暮らしていたのに」そんな思いはいつしか、更新手続きを忘れてのうのうと生きていた自分に対する否定の感情を誘発しました。 ひとしきりくよくよ悩んだところで、インターネットで教習所や料金について調べ始めました。「ゴールデンウィークに仮免持ちで合宿、一人部屋」という条件のもと、比較的リーズナブルで口コミも良好なところを発見し、申し込みました。 結果から言うと、教習所での8泊9日は非常に充実したものでした。近年稀にみるその充実ぶりに、自分のことながら驚きを隠せません。普段の自分は何をしているのかという問題はひとまず脇において、教習の合間に本もたくさん読むことができ、達成感もひとしおです。私のほかには、男女合わせて3名ほどの「うっかりさん」がおり、その喪失と挫折の経験を共有する者たちの間には、刹那でありながら奇妙な友情が芽生えました。 今これを読んでくださっている方で免許をお持ちの方は、ぜひただちに読むのをいったん中止して免許の有効期限をチェックしてください。元号改元もあり、いつ自分が「うっかり者」になってもおかしくない世の中です。 オオイシ