2023.07.24 社長コラム ちょっと気になるFAXの話 前回のコラムで「基本的なオフィス用設備(デスク・パソコン・電話・FAX・コピー機)」と書きました。しかし、この令和の時代、「基本的なオフィス」にFAXが必ず設置されているのか? というと少々疑問ではあります。ところが、出版業界では今でもFAXが現役バリバリ、大活躍しています。私が入社した2010年頃にも「いまだにFAXが主流って変わった業界でしょ?」と言われたものですが、それから10年以上経っても状況はさほど変わっていません。 FAXは主に書店さん・取次会社さんと出版社とのやり取りで使用されます。元々、出版社が書店さんに商品をご案内するときは、紙の注文書(チラシ)をお渡しするのが一般的です。直接お会いできない場合は、郵送やFAXでDMを発信することも多いのです。特にFAXでのDM(FAX便)は安価で相手先にすぐ届くので、出版社では多用されています。なんにせよ注文書を受け取ると、書店さんはその商品の発注数を決めて注文書に記入し、「番線印」というハンコを押します。なお、「番線」というのは書店さんを特定するコードのことで、「番線印」にはそのコードが刻まれています。番線印を押したら、出版社に注文書をFAXします。そう、またFAXです。書店さんでは、この「注文書に受注数を書いて、番線印を押して、出版社にFAXする」という一連の流れをルーティンで行なっています。熟練の書店員さんはこの一連の作業がとても速く、まさに職人芸という感じです。 しかし、さすがにそろそろFAXから脱却しようという流れも出てきました。以前から書店さんでは「出版社からのFAX便が多すぎて全てはチェックできない」と言われていました。チェックされないFAX便はそのまま捨てられてしまいます。インターネットFAXを活用するケースも増えているようですが、FAXではなくWEBを活用した商品案内や付随するWEB受発注システムも普及しつつあります。 いろいろ書きましたが、個人的にはFAXのやり取り、実はわりと好きなんです。FAXが届いて、「ウイーン」と微かな音を出しつつ紙が排出されてくると「おっ!注文来たかな?」とドキドキします。また、FAXで届いた注文書に手書きでちょっとしたメッセージが書かれていることがあったりして、ほっこりしたりもします。これは、いわゆる「エモい」というやつかもしれません。しかし、時代は止まりませんので、脱FAXの流れはおそらくまだまだ進むでしょう。FAXの存在が今後も残るのか、消えていくのか、ちょっと気になる今日この頃です。