僕が見ているアメリカ【9】―これだから異国の生活は面白い―

非ネイティブが使わないほうが良い言葉

著者　藤井拓哉（英語）教員 & Yokowo Manufacturing of America Sales Representative

2023年5月、約15年ぶりにアメリカに戻ってきた。
旅行？ いやいや、仕事である。しかも教員としてではなく、とある企業の営業として…… そう、転職したのである。転職した理由はいくつかあるのだが、主な理由は「今後も教育者として生きていくには、日本の大学業界以外の世界も知る必要がある」と感じたからだ。
また元英語教員として「使える英語（＝ 社会人になった時に必要とされる英語スキル）というものは果たしてどんなものなのか、今度は社会人という視点で見直したい」という考えもあった。

そんなこんなで、かれこれ半年ほどアメリカで働いているのだが……

やはり「日本の教室で学ぶ英語」と「実際に職場や日常で使われる英語」というのは全然違う！！

そんなお話を今回のシリーズで、話していきたいと思う。

使う言葉は要注意

突然だが、クイズを1つ。
 
What is a word that starts with an “F” and ends with “ck”?
（Fで始まってck で終わる単語は何だ？）
 
The answer is… Firetruck. (Fire truck とも書く場合もある)
（正解は…Firetruck （消防車）でした）
 
心が汚れている人は、使ってはいけない4文字の単語を連想したことだろう。私のように心がピュアな人間は、すぐに「あ！Firetruck だ！」とわかるものだ😆
 
冗談はさておき…… 英語を母国語としない我々でもパッと思いつくFで始まる例の言葉（英語では、F-word / F-bombと呼ばれるたりする）。英語には、他にも汚い言葉（例えば S-word / S-bombなど）もあるのだが、これらの悪い言葉は非ネイティブである我々は、あまり使うべきではないだろう。🤔

言葉は「状況」だけでなく「キャラ」もマッチして初めて自然に聞こえる

英語学習において「映画やドラマで使われている状況をまねて使ってみる」といったことがよく推奨されるが、映画やドラマなどを教材に使う際の注意事項として、「状況」だけでなく「その言葉を使っているキャラ」にも注意する必要があるということが挙げられる。
 
悪い言葉に関して言えばなおさらだ。

確かに、アメリカの映画やドラマでも悪い言葉はよく使われるが、そのキャラだから自然に聞こえるというのがよくある。
これは日本語で考えればすぐにわかるだろう。
例えば「はぁ？ クソダセェな」「何あれ？ マジ終わってんだけどぉ〜」と言った言葉を日頃から使っている人はどんな人か想像してもらいたい。🤔
上品で知的な人…… の場合は少なく「品や教養がない」と見られてしまう場合が多いのではないだろうか。
英語での汚い言葉もまさにこれにあたる。

英語非ネイティブである我々日本人が英語を話すのであれば、たどたどしい英語で、あまり自信もない話し方になってしまう場合が多い。
そんな人が汚い言葉を使ったら…… 再び想像してもらいたい。日頃、たどたどしい日本語で自信無さげに話す外国人が

「はぁ？クソダセェな」
「何あれ？マジ終わってんだけどぉ〜」

と言ったら、みなさんはどう思うだろう？ 例え、完璧な状況だったとしても違和感を覚えるのではないだろうか？ しかし、なぜこの違和感が起きるのか？ その理由は使った言葉がその人の「キャラ」に合っていないからだ。
 
アメリカで働いていると悪い言葉も時々耳にする。しかし、「職場でみんなが使っているから」という理由で自分も汚い言葉を使っても自然に聞こえるか…… と言ったら必ずしもそういうわけでもない。このことは覚えておいて損はないだろう。

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記事を書いた人：藤井拓哉（ふじい たくや）
オハイオ州立大学、同大学院で教育学を学び、日本語の教員免許とTESOL(英語を母国語としない方のための英語教授法)を取得。帰国後は、宇都宮大学で英語講師を務める。定期的に数学、化学、物理を英語で学ぶ「理数系英語」の講義も行い、2010年と2013年にベストレクチャー賞を受賞。茨城大学、筑波技術大学、筑波大学、上智大学で英語講師を務める。著書多数。『MP3CD付き ガチトレ英語スピーキング』『60回完成ガチトレ 中学・高校6年分の英文法完全制覇』『たくや式中学英語ノートシリーズ』など。現在、Yokowo Manufacturing of America の営業として活躍中。TOEIC955点、TOEFL101点。